＊ ページ15
人を掻き分け、端でちびちびお酒を飲むターゲットに近づく。
一人か、やりやすいな。
ab「…お姉さん、一人ですか？」
「へっ！？あ、いや、友人と来たんですけど、あっち行っちゃって…」
彼女が指差す先を見てみると、楽しそうに喋る女の子と、目黒。
ターゲット同士は友人関係か…
ab「そうなんですね…俺も友人と来たんですけど、はぐれちゃって…」
ちゃっかり、ターゲットの隣に座る。
相手はこういうクラブとか、異性と交流する場全体に不慣れそう。
俺と喋っていて少したどたどしい。
一見連れ出しにくそうに見えるけど、これはかえって好都合。
こういう男慣れしてない子の方が、まんまと引っかかってくれる。
ab「俺、こういうとこ初めてなんですよね」
「そ、そうなんですか？私もなんです！」
…ほら、こうやって、自分も相手と同じだと認識させれば、勝手に向こうから距離を縮めてきてくれる。
ab「今日はどうして来られたんですか？」
「…ちょっと、前に嫌なものを見てしまって。それを忘れたくて…」
嫌なもの、か。
これは少し情報が落ちそうだ。
ab「嫌なものって？」
「それは………」
言えない、とでも言うように、きゅっと下唇を噛んで口を噤んだ。
この人がターゲットになってしまったのには、そのことが関係するのだろうか。
彼女の顔を覗き込むように少し背中を丸め、
彼女だけに聞こえるように小声で言う。
ab「大丈夫。ここなら俺しか聞いてないよ？ちゃんとバラさないから。
……楽になっちゃえば？」
「ッ……」
俺の言葉を聞いた彼女が、大きく目を見開く。
少し悩む素振りを見せたが、酔いが回って判断力が鈍ったのか、彼女は口を開いた。
「私っ……人が殺されるのを見てしまって……」
ab「…そっか、それは確かに嫌なものだね」
「ッはい……安全の為に父にも外に出るなって言われたんですけど、一緒にいたあの子に誘われて…
遊んで忘れちゃおうって……」
そういうことか。
目撃者を消してしまおうって訳ね。
だから急に依頼が来たのか…
ab「そしたらさ、お姉さん」
スカートをきゅっと掴む彼女の手に俺の手を重ね、
耳元に口を寄せ、ゆっくりと囁く。
彼女からしたら、正に悪魔の囁きなのだろうか。
ab「……俺が、全部忘れさせてあげる」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 685人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れいあ(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます、そう言って頂けて幸いです！そうなのですね、ab sideを気に入ってくださってありがとうございます！是非頑張らせていただきます！ (2020年6月14日 17時) (
レス) id: 0e24289ba8 (このIDを非表示/違反報告)
もも - いつも更新楽しみにしております！個人的にabsideのほうがすごく好きです！更新頑張ってください！ (2020年6月13日 21時) (レス) id: f787327a83 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - めぐみみさん» めぐみみさん、ありがとうございます！お得感ありますかね！？良かったです！！！(笑)是非頑張らせていただきます、コメント本当にありがとうございます！ (2020年5月30日 22時) (レス) id: 0e24289ba8 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみみ(プロフ) - こんにちは。阿部ちゃん視点のお話も読みに来ました。２人の視点が分かれてるお話ってなんだかお得感がありますね（笑）2人の秘密がいつかバレる日が来るのかちょっとドキドキしながら読んでます。更新楽しみにしていますので頑張って下さいね。 (2020年5月30日 15時) (レス) id: 5685bea8d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいあ
| 作成日時：2020年5月27日 22時
