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安堵なんてものは一瞬で去り、少しだけ頭の片隅に残る夢の破片に深澤は不安と恐怖に押し潰されそうになる。
全身にもう傷がないのを態々確認するも、暗闇に目が慣れないせいで良く見えず余計に不安を煽った。
iw「んん……？なに……？」
自らの身体が大きく揺さぶられるのを感じて、岩本は目を覚ました。
揺さぶってくる相手を見ようとしたが、その後ろのカーテンから漏れる月明かりが眩しくて目を細める。
光で徐々に意識がはっきりとして、少しずつ周りの音を耳が認識し出した。
fk「…ぃぁ……ひぁぅ、……」
iw「……ふっ、か？」
聞いたことのない声に、自分の名らしき名を呼ばれる。
だが、二人しか住んでいないこの場所で、彼以外の人間がいるはずも無い。
これが初めて聞く彼の声なんだと、岩本は理解した。
こんな夜中に何事かと上半身を起こす。
すると、必死にまともに出ない声で岩本の名を呼ぶ深澤の姿があった。
iw「どうしたの…って、体震えて……」
fk「……ぁぅ、ぃかッ…げほッ……」
iw「冷たっ…！」
“照”のK子音の発音で喉が詰まり、深澤は咳き込んだ。
酷く焦った様な深澤の様子に岩本はただただ混乱する。
深澤の手が縋る様に岩本の腕を掴み、その体温の低さに思わず声を上げた。
深澤の手の震えは止まることなくダイレクトに岩本に伝わる。
どうしたらいいかわからず、岩本は華奢で薄い身体を自らの方へと抱き寄せた。
お化けやらで怖がっていた自分に、幼い頃母親がしてくれていた行為だった。
fk「ぃ…ぅ、……」
iw「ふっか、とりあえず落ち着いて。」
絶えず岩本の名を呼び続ける深澤は、自分の中の気持ちを紛らわすように岩本の背に強く腕を回した。
何があったのか岩本には分からなかったが、恐怖に揺れる瞳が、痛い程に彼の感情を伝えていた。
少しでもそれが和らげば、と思い、岩本は深澤の背中を摩る。
とくとくと柔らかく響く心臓の音。
他人の鼓動は安心するとよく言うが、本当にその通りで段々と深澤の震えが収まってきて、軽くパニック状態だったのが正常に戻っていく。
まだ微かに頭の片隅に残っている、先程と同じ、あの安心する温もりに、深澤はまた心が満たされていくのを感じた。
そうだ、アレは夢だ。
最後に暴力を受けたのだって、もう数ヶ月前の照が来た時であって、それからは一度もない。
あの後の展開だって、ただの夢に過ぎない。
気にする必要も、意味も、何も無いのだ。
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そら。 - お忙しい中リクエストに応えていただきありがとうございました！まさに読みたかった場面で感動です…。これからも頑張ってくださいね、応援してます！ (2021年1月31日 22時) (
レス) id: c6c4969a03 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - そら。さん» 大変遅くなりました、リクエスト書かせていただきました…！全4話構成となっておりますので、是非読んでいただけたら幸いです！ご希望に添えていればいいのですが、、是非これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2021年1月31日 17時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» こちらこそです！！！かなりお話が長くなってしまいました、(笑)え、是非是非！！！リクエストいつでもお待ちしております！いつもこの作品を本当にありがとうございます！ (2021年1月11日 11時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
Raw(プロフ) - れいあさん» 今回もリクエストに応えていただき、本当にありがとうございます！今回のお話も本当に凄いです！！また機会がありましたらリクエストしてもよろしいでしょうか、、？ (2021年1月3日 23時) (レス) id: c8dae37643 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» 遅くなり申し訳ありません、目黒くんのお話書かせていただきました…！中々ご希望に添えているか不安ですが、出来る限りやったつもりなので是非読んでいただけたら幸いです。リクエスト2度も本当にありがとうございました(泣) (2021年1月3日 20時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいあ
| 作成日時：2020年12月12日 8時
