◆ ページ38
sk「えっと……あ、適当に座って……？」
自分で招き入れたにも関わらず、仮にも初”対面“の相手にどう対応して良いか分からず、佐久間は少し辿々しい口調になってしまった。
阿部も緊張しているのか、ぎこちない様子で佐久間に言われた通りにした。
sk「阿部ちゃん……なんだよね？」
ab「……うん。」
答えなんて分かり切った質問だった。
ただ、直接言われないと受け入れられない気がした。
“うん”という二文字が佐久間に重くのし掛かる。
自分のことじゃ無いのに、まるで肺が潰れる様だった。
sk「そっ…か……」
どうにか佐久間は声を絞り出すが、いつもの声とは全く似つかない、今にも消えそうな声。
sk「…っはは、まさか会えるとは思ってなかったなぁ。」
ab「……俺も。」
全く心のこもらない笑いに、佐久間は自らダメージを受ける。
けれども、いくら悲しんだって、内心傷ついたって、現実は何も変わらないし、かえって相手に失礼かもしれない。
……現実を、受け入れなきゃ。
sk「阿部ちゃん背高いしイケメンだしスペック高すぎてビックリした。」
ab「ふふ、そんなこと無いよ。」
少し他愛のない会話でも挟んで気持ちを入れ替えようとするものの、後が続かない。
段々リラックスした雰囲気になってきた阿部とは反対に、佐久間はもうガチガチであった。
今はもう違うが、元々、幼い頃は然程外交的な性格でも無かった。
なんとなくその頃の感覚が蘇って、話せない。
そのせいからか、暫く沈黙が流れる。
だが、話す話題が全くない訳ではない。
佐久間にはずっと気になっていたことがあった。
それを、聞いて良いものなのだろうか。
分からないが、どうせいつかは聞くことになる。
覚悟を決めて、再び佐久間から口を開いた。
sk「……学校辞めたの、眼が原因？」
ab「そう。結構すぐバレちゃってさ。少しだけ準備の時間貰って、それで今日佐久間のとこ行って、その後すぐここに来た。」
案外軽い口調で喋る阿部に、佐久間は少々拍子抜けした。
自分のさっきの覚悟は何だったのか。
勿論、深刻な話になるよりは全然良いし、寧ろありがたいくらいだが。
彼が大聖堂で退学の理由を言わなかったのにもこれで納得だ。
確かに万が一彼がジェダイトだとバレれば、大騒ぎになっていたであろう。
いじめとか、病気で無くて本当に良かった。
そう思うものの、どこかやるせない気持ちが残るのに変わりなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そら。 - お忙しい中リクエストに応えていただきありがとうございました！まさに読みたかった場面で感動です…。これからも頑張ってくださいね、応援してます！ (2021年1月31日 22時) (
レス) id: c6c4969a03 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - そら。さん» 大変遅くなりました、リクエスト書かせていただきました…！全4話構成となっておりますので、是非読んでいただけたら幸いです！ご希望に添えていればいいのですが、、是非これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2021年1月31日 17時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» こちらこそです！！！かなりお話が長くなってしまいました、(笑)え、是非是非！！！リクエストいつでもお待ちしております！いつもこの作品を本当にありがとうございます！ (2021年1月11日 11時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
Raw(プロフ) - れいあさん» 今回もリクエストに応えていただき、本当にありがとうございます！今回のお話も本当に凄いです！！また機会がありましたらリクエストしてもよろしいでしょうか、、？ (2021年1月3日 23時) (レス) id: c8dae37643 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» 遅くなり申し訳ありません、目黒くんのお話書かせていただきました…！中々ご希望に添えているか不安ですが、出来る限りやったつもりなので是非読んでいただけたら幸いです。リクエスト2度も本当にありがとうございました(泣) (2021年1月3日 20時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいあ
| 作成日時：2020年12月12日 8時
