◆ ページ13
試験に合格し、彼の高等部の生活が始まってから数日。
この日もスピネルは半分意識を飛ばしながらも、彼が来るのを待っていた。
新学期の忙しさから会えなかった彼から高等部での生活について聞けることを期待していた。
ab「……おはよう、佐久間。」
sk「………？おはよ！」
だが、待ち侘びていた彼の声は予想外に低く、暗い。
………なんで？なにがあったの？
彼が暗くなる理由がわからず焦ったスピネルは、思わず椅子から立ち上がる。
sk「あ、阿部ちゃんどうしたの？」
ab「どうも、しない……」
sk「どうもしなくないでしょ、……学校で何かあった？」
ab「……学校は楽しかったよ。」
………楽しかっ“た”？
sk「ど、どういうこと？楽しかったって……」
ab「………。」
sk「……佐久間さんには言えない？」
少しの沈黙が流れ、再びスピネルは焦る。
あの阿部ちゃんがこんなに気分が落ち込んでいるなんて。
いや、実際どうなのかは見れないけども。
目の前の仕切りがどうももどかしくて、無意識のうちに佐久間は仕切りに両手を当てる。
なんだか仕切りの向こうの彼も同じようにしているような気がして、スピネルは目を閉じた。
ab「俺ね、昨日学校辞めたの。」
sk「辞め…た……？」
学校を辞めた、だって？
何故？
あんなに試験勉強を頑張って、高等部の生活を楽しみにしていたのに。
勉強に早くもついていけなかった？嫌がらせ？まさか、病気？
色々な推測が浮かんだものの、どれだかはさっぱりわからなかった。
それが分かるほど、スピネルは彼のことを知らなかった。
ab「理由は……ここでは言えないけど。」
“ここだともし聞かれたらいけないから”という小声の呟きに、スピネルは更に混乱する。
仕切りに当てていた両手を、思わずきゅ、と握った。
sk「そんな………」
ab「……まだ高校始まって数日だったけど、すっごい楽しかったんだ。」
sk「うん。」
ab「授業も面白くて、生徒もレベル高くて。ここでちゃんと勉強すれば、本当に教師になれるって思って。」
sk「……うんっ。」
ab「………悔しいなぁ。」
それ以上彼は何も言わず、スピネルも言葉を発すことが出来なかった。
時間だけが過ぎてタイムリミットを迎え、彼は退室した。
その日の勤めの後、王国兵に連れられてスピネル達の元にやってきた深緑の瞳をした青年。
その低めの声は、スピネルが酷く聞き慣れたものであった。
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そら。 - お忙しい中リクエストに応えていただきありがとうございました！まさに読みたかった場面で感動です…。これからも頑張ってくださいね、応援してます！ (2021年1月31日 22時) (
レス) id: c6c4969a03 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - そら。さん» 大変遅くなりました、リクエスト書かせていただきました…！全4話構成となっておりますので、是非読んでいただけたら幸いです！ご希望に添えていればいいのですが、、是非これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2021年1月31日 17時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» こちらこそです！！！かなりお話が長くなってしまいました、(笑)え、是非是非！！！リクエストいつでもお待ちしております！いつもこの作品を本当にありがとうございます！ (2021年1月11日 11時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
Raw(プロフ) - れいあさん» 今回もリクエストに応えていただき、本当にありがとうございます！今回のお話も本当に凄いです！！また機会がありましたらリクエストしてもよろしいでしょうか、、？ (2021年1月3日 23時) (レス) id: c8dae37643 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» 遅くなり申し訳ありません、目黒くんのお話書かせていただきました…！中々ご希望に添えているか不安ですが、出来る限りやったつもりなので是非読んでいただけたら幸いです。リクエスト2度も本当にありがとうございました(泣) (2021年1月3日 20時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいあ
| 作成日時：2020年12月12日 8時
