月と太陽 ページ18
厳重に閉ざされた扉。
足元から重く響く金属音。
鈍く痛む打撲痕。
たった独り、アメジストは冷え切った地面に座り込む。
別に、ここに入れられるのは初めてでは無い。
というより、最早何回目かも分からない。
孤独から逃げようとすれば罰を受け、また独りになる。
その繰り返しだった。
fk「ッ………」
先程罰として打たれた右脇腹が痛む。
今回も、上手くいかなかった。
約四年前。
齢わずか十でアメジストになったこの少年は、訳もわからず救世主となり、隔離され、孤独な人生を送ってきた。
母や姉と会うことも出来ず、大聖堂への移動時以外は常に独りだった。
同年代の友人なんて勿論存在しなかった彼が声を忘れるまで、そう時間はかからなかった。
体罰を受けても、この暗く冷たい“オリ”に入れられても、彼が許しを乞うたり泣き叫ぶことは無かった。
彼の涙はとうに涸れ、希望なんてものは消え去った。
もう、別に外に出たい訳では無かった。
それくらいしか、やることが残されていなかった。
「………相変わらず全く反省していなさそうだな。」
fk「………。」
夕食を取り終わり暇なのだろうか。
司教のうちの一人がやってきて、もう何度目か、”オリ“の中の自分を嘲笑うかの様に声をかける。
奴も随分と飽きないものだ。
「その様子からして本来ならあと五日は此処だが………今回は運が良かったな。」
fk「………？」
「サルファー様がお見えになった。」
自分の記憶が正しければ、それは確か五つ目の石。
見つかってしまったのか。
可哀想に。
年下だったら尚更可哀想だ。
「はっ、大司教さま…！サルファー様まで…！」
背後からやってきていた大司教に気づいた司教は、慌てて道を譲る。
サルファーが見つかりご満悦なのか、大司教は満面の笑みであった。
とても先程まで自分をぶっていた奴とは思えない程。
つくづく気色悪い奴だ。
奴の顔なんて見つめる趣味は無いので視線を床に逸らす。
「アメジスト様、サルファー様がお見えになりました！これからはお互い仲良くして下さいね。」
引くほど上機嫌なその声に呆れて吐きそうになる。
奴の言葉なんてアメジストには届かないものの、耳障りな音には変わりない。
だが、ふと顔を上げた時、奴の後ろにどこか不安そうに佇んでいた彼と目が合った。
まるで太陽だった。
この暗がりを照らすその神秘的な光に、アメジストは一瞬にして目を奪われた。
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そら。 - お忙しい中リクエストに応えていただきありがとうございました！まさに読みたかった場面で感動です…。これからも頑張ってくださいね、応援してます！ (2021年1月31日 22時) (
レス) id: c6c4969a03 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - そら。さん» 大変遅くなりました、リクエスト書かせていただきました…！全4話構成となっておりますので、是非読んでいただけたら幸いです！ご希望に添えていればいいのですが、、是非これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2021年1月31日 17時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» こちらこそです！！！かなりお話が長くなってしまいました、(笑)え、是非是非！！！リクエストいつでもお待ちしております！いつもこの作品を本当にありがとうございます！ (2021年1月11日 11時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
Raw(プロフ) - れいあさん» 今回もリクエストに応えていただき、本当にありがとうございます！今回のお話も本当に凄いです！！また機会がありましたらリクエストしてもよろしいでしょうか、、？ (2021年1月3日 23時) (レス) id: c8dae37643 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» 遅くなり申し訳ありません、目黒くんのお話書かせていただきました…！中々ご希望に添えているか不安ですが、出来る限りやったつもりなので是非読んでいただけたら幸いです。リクエスト2度も本当にありがとうございました(泣) (2021年1月3日 20時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいあ
| 作成日時：2020年12月12日 8時
