家族 ページ8
緑谷君の前を歩き続けて、ようやく彼のアパートに辿り着いた。
『緑谷君のお母さんてなんか優しそう。ご飯一緒になんて言ってくれるし。』
会ったことないから勝手な妄想だけど。
「うん！僕が言うのもなんだけど、お母さんは優しいよ。」
すげえ笑顔……幸せそうな家族だな。
部屋の前まで来たところで、思わず立ち止まってしまった。
「……？、怪部さん、どうかした？」
緑谷君が気にかけてくれるけど、ごめんちょっと歩けそうにないや。
『ごめん、あの……ちょっと、前の家を思い出しちゃって……』
わかってる。緑谷君もお母さんも、
でも、"家"というのは私にとって、耐え難い苦痛を与えられた場所だったから。
「……僕には怪部さんの言う前の家の事も、何も分からないけど……」
「大丈夫。この家は僕の家だよ。僕とお母さんしかいない。君にそんな顔をさせる人は、誰もいないから。」
そう言って、彼はわざわざ繋がなかった手を強引に掴み、私を家の中まで引き入れた。
「お母さん、ただいま！怪部さん連れてきたよ！」
奥の方からお母さんらしき「おかえり」の声が聞こえてくる。
「少し遅くなっちゃったから多分もうご飯作ってくれてるだろうし、行こう。怪部さん。」
『う、うん。』
私の手をしっかりと握るそのボロボロの手の平が、やけに温かく感じた。
「あなたが怪部さん？」
『あ、はい。怪部Aです。』
「ありがとねぇ、出久の特訓に付き合ってくれてるんでしょう。
出久のメニューの調節のせいで豪華なものは出せないけど、今日はお腹いっぱい食べていってね。」
そう言って緑谷君のお母さんは優しく笑う。
はは、すっげぇ似てる。親子だな。
「怪部さん、ここ座って！」
テーブルの上にはもう食事が並んでいる。
言われるまま促された席に座り、勢いのまま挨拶をしてから箸を手に取る。
食事に箸を伸ばして一口食べてみると、
「……怪部さん、どうしたの？」
「あれ、もしかして口に合わなかったかしら……？」
思わず固まってしまった私を、二人は心配そうな顔をして覗き込んでくる。
だめだ。なんか込み上げてくる。
これは＿＿＿涙？
「え、なんで泣いて……」
『ご、ごめん、違うんで、まずいとかじゃなくて……
なんか、あったかくて……』
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れふたー(プロフ) - 結衣さん» そこまで言って頂けて嬉しいです！学業との兼ね合いで更新に波があったりしますが、できるだけ毎日更新できるように頑張ります！ (2020年5月2日 15時) (
レス) id: 71a6eff1cd (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - この作品最高です！！！頑張ってください！！ (2020年5月2日 14時) (レス) id: 595fd40667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れふたー | 作成日時：2020年4月15日 0時
