帰り道 ページ7
・
「……」
『……』
歩き始めてもう数分以上経つが、微妙な空気がずっと続いている。
もちろん、最初に重ねた手はずっと繋いだまま。
緑谷君はずっと顔を赤くして俯いたまま歩いている。
前見ないと危ない、と言いたいところだが、私もそれどころではない。
私の個性、「怪力」は常時発動しているから、手を握る力をあまり強めすぎると彼の手を折ってしまう。
力の調節は自分でもうまくできないから、自分から手を乗せておいてなんだけど気が気じゃない。
『っあーもう無理！！』
思わず叫んで、彼の手を振り払ってしまう。
やっちまった。
「え……、そうだよね。
僕なんかと手繋いでも嬉しくないよね……。
ごめ」
『違うから！断じてそういうことじゃないの！！
言うなればこれは私の問題であって緑谷君は１ミリも悪くないから！！』
食い気味に誤解を与えぬよう説明をしておく。
……あれ、なんか顔近くね？
「……あの、怪部さん、ちょっと近くない……？」
興奮していつの間にかとんでもない至近距離まで近づいていた。
『ああああごめんすぐ離れるから！』
後ろに思いっきり飛び退く。と、思ったより飛距離が出て住宅街の壁に背中を強打した。
これまた力強くなってる……？
「怪部さん、その、『私の問題』ってどういうこと？」
『えーとそれは、私の個性が……』
「そういえば、怪部さんの個性ってまだ聞いてなかったよね！
どんな個性なの？」
こいつ、さっきまで赤面だったのにもう目が輝いてやがる……ヒーローオタクめ……。
『「怪力」って言うんだけどさ。名前そのまんま怪力が出せる。
でもこれが不良品でさぁ、自分で調節が効かないんだよね。』
少し苦笑いでそう伝える。
この個性のせいで今までかなり苦労した。
今でさえ人に触れる事ができるけど、前は壊してしまうのが怖くて何にも触れなかった。
「そ、っか……なんか毎回ごめん。」
『いやだからなんも気にしてないけど……てか今謝るとこあった？！
それよりそろそろ行かないとじゃない？
お母さん待たせちゃうし。』
「ああ、そうだね！じゃあ行こう。」
また彼は手を差し出してくれる。
でも私はその手ををとれなかった。
『こっちで合ってる？』
「え、うん。そっちだけど……。」
『そっか。』
私は彼の前を足早に歩き始めた。
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れふたー(プロフ) - 結衣さん» そこまで言って頂けて嬉しいです！学業との兼ね合いで更新に波があったりしますが、できるだけ毎日更新できるように頑張ります！ (2020年5月2日 15時) (
レス) id: 71a6eff1cd (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - この作品最高です！！！頑張ってください！！ (2020年5月2日 14時) (レス) id: 595fd40667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れふたー | 作成日時：2020年4月15日 0時
