辛そうな顔をしてたから【出久side】 ページ11
君が自分のことについて話すときは、辛そうな顔をしている。
その表情を見ると胸が苦しくなって、ああ、聞かなければ良かったと後悔をしてしまう。
謝れば君は笑って僕を茶化すけど。
その時だって、君はここじゃないどこか遠くを見つめているような気すらした。
きっと僕には想像できないほどの辛い過去を持っているんだと思ってたんだ。
君を家に連れていった日。
気がつけば僕は君に手を差し出していた。
苦笑いでその手をとってくれたけれど、握った手はずっと震えていて。
個性のことを聞いたあとも、無意識に手は動いたけど、手をとってはくれなかった。
家の前で立ち止まる君を見て、悲しそうな、辛そうな顔をしている君を見て。
過去に捕らわれているであろう君を、助けたいと思った。
そして今、君の過去を聞いた。
今度は後悔はしない。
君を助けるために、また君に辛い顔をさせてしまったけど。
これからはもう二度と、僕が君にそんな顔はさせないから。
お母さんの提案で、僕達は家族になった。
その時の君は、初めて心から笑っていたと思う。
「ねえ、怪部さん」
『ん？』
僕ら二人は、また海浜公園に戻っている。
まだこっちに受け入れる準備もできてないし、怪部さんにも準備が必要だと思うから、とりあえず今日のところは一度戻ろう、ということで。
「その、家族……だからさ。
名前で呼んでもいいかな……？」
『あー、うん。いいよ。出久。』
急な呼び捨てに心臓が跳ねる。
「よ、呼び捨てはまだちょっと慣れない、っていうか……君付けじゃだめかな、えと、Aちゃん……？」
『慣れるためなら最初から呼び捨ての方が良いでしょ？
あと、私も呼び捨てでいいから。』
うっ、ごもっともです……
『……A……？』
「ん、何？出久。」
顔をひょこっと覗き込んでくる。
それだけでまた胸の鼓動が速くなっていく。
ただでさえ女の子と呼び捨てなんて初めてなのに……！
君の動きや言葉のひとつひとつが、僕の調子を狂わせてしまうんだ。
どうしてなのか、僕にはよくわからない。
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れふたー(プロフ) - 結衣さん» そこまで言って頂けて嬉しいです！学業との兼ね合いで更新に波があったりしますが、できるだけ毎日更新できるように頑張ります！ (2020年5月2日 15時) (
レス) id: 71a6eff1cd (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - この作品最高です！！！頑張ってください！！ (2020年5月2日 14時) (レス) id: 595fd40667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れふたー | 作成日時：2020年4月15日 0時
