唄を忘れたマーメイド３ (ページ3)

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トクベツページ3

「着けて」
「ジョンイ二の初舞台が成功します様に」

僕だけ、だったのに…。

【ＴＡＥＭＩＮＳＩＤＥ】

ウニョクヒョンにジョンイニを探してくるよう言われて、何となくステージに向かった。

僕は初舞台の前にステージを見たいと思ったから、なんとなくジョンイ二もそこにいる気がして。

やっと親友と一緒に舞台に立てる。
絶対に負けたくない相手だけど、それ以上に同じ舞台で一緒に踊る夢が叶ったことが嬉しくて、この一週間ホントに楽しみで仕方なかったんだ。

でも、忘れてた。

舞台袖で見つけたジョンイナ。
…そして、その横にA。

手作りだろうアクセサリーをジョンイニに渡すAを見て、思わずシャツの裾を強く握る。

そうだ…。
ジョンイニがデビューするってことは、今まで僕だけが持っていた、他から見ればささやかだけど僕にとっては大きな『特別』がなくなってしまうという事…。

僕が事務所に入って、ジョンイニとAとすぐに仲良くなった。一緒に練習して泣いて笑って、何をするにも３人一緒だった。

でも、クラス昇格して二人と同じレッスンになっても、ジョンイニとAのペアは変わらなくて、それが悔しくて必死に頑張っても、一度もAと組ませてもらえなかった。

ズボンのポケットに手を入れると、小さな袋に指が触れて、それをゆっくりなぞる。

僕がShineeのメンバーに抜擢されてデビューが決まった時、Aは皮にビーズを編み込んだミサンガを作ってくれた。

初めての、Aから貰った『トクベツ』。
ジョンイニにはない僕だけの『トクベツ』。

毎日着けていたから、暫くして切れてしまったミサンガを小さな袋に入れて今でも毎日持ってる。

でも、その『トクベツ』ももう無くなっちゃった。

…だから。

ねぇ、ジョンイナ。

ジョンイニにとってAは大切な親友？

でも、僕にとってAは…
今までも、これからも大切なたった一人の女の子。

だから、僕は本気でAに向き合う。
いくら親友でも、これだけは譲れないから。

二人に声をかけずに、そっと踵を返した。
今日はジョンイニの初舞台だから。
今だけは、知らないフリをしてあげる。

でも、A、覚悟してて。
僕は、Aの『トクベツ』になりたいんだ。