唄を忘れたマーメイド３ (ページ1)

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緊張と騒動とページ1

え？え？何がどうなってんの？！

【CHEN SIDE】

Aさんが居ない…
一緒にTV局に入って、リハして…
そろそろメイクをしないといけない時間だけど、肝心なAさんが居ない。

一体どこ行っちゃったんだろう？ユファヌナがタオのベースメイクしてくれてるあいだに、廊下に出てみた。慣れないTV局の中で、Aさんが迷子になってたら大変だから…。

年末の歌謡大祭は一年の中で最大のイベントだから、廊下は出演者の方やスタッフさんで溢れかえってる。

あ、２ＰＭ先輩だ…オーラ半端ない…。
うわ…WONDER GIRLSの皆さんだ！カッコイイ！
おお～！あっちにはBIG BANG先輩！！！

…。

…何か皆さん立ってるだけで凄いっていうか、圧を感じるよね。そんな人たちと俺同じ舞台に立つの？

頑張って練習してきた。でも、ちゃんと見せられるのは歌しかなくて、その歌だってまだまだなのに…。

怖い。

ギュッと目を閉じた。

EXOの代表として選んでもらった。
ベクだって、ギョンスだって出たかったはずなのに、練習に付き合ってくれて、応援してくれてる。
俺、頑張らないといけないのに、何だって今になって震えてるんだ…。

震える手をぐっと握って唇を噛んだ。

その時。

…ん？廊下の奥がなんだかザワザワしてる？

ふと顔を上げると、そのざわめきはどんどん大きくなってる。目を凝らすと、人でごった返す廊下の彼方からこちらに猛然と走ってくる人影。

え？な、何あれ？！
ていうか、今、Aさんの声がしなかった？！

「チャンミンオッパ！人が見てるから！下ろして！ユノオッパも助けて！」
「もう少しで着くから我慢！遅れたら困るのはAだから！」
「A、チャミナに任せておけば大丈夫だから！」
「そうじゃなくて、恥ずかしいの！」

…は？へ？
チャンミニヒョンが荷物みたいに担いでるのって、もしかして、Aさん？！

大柄な男性２人が女の子を担いで猛ダッシュしてる図は中々にシュールで、周囲は驚いたように道を開けていくから、あっという間に３人が俺の前を通り過ぎていくのを、呆然と見送った。

うん。俺は何も見てない…うん。

「ジョンデ！！！」

へ？！？！

恐る恐る顔を上げると、チャンミニヒョンとバッチリ目が合った。

「何してる！遅れるぞ！！」

え！？俺怒られるパターン？！
そんなぁ…。

ハァ…。
思わずため息。
戻ろ…。

あ。
震え止まってる。

ら、ラッキー…なの？！これ？