記憶 ページ34
「A！ホラ、ここのお店見て！」
よかった。タオさんが機嫌直してくれて…。
むすっとしたタオさんを引っ張って、ベッキョンさんが事務所の裏から外に出た。
今は平日の早い時間だから、事務所の周りで待っている女の子達も居なくてホッとする。
「ホラ、タオ。お前の好きなアイス買ってやるから。それやめろ。」
チラリ、とタオさんはベッキョンさんを見て、小さく「はぁい。」と返事をした。
「ひょん、タオの好きなアイスクリーム屋さんいってもいい？」
「わかったわかった。ホラ、A行くぞ。」
事務所には何年も通っていたけれど、お店は詳しくない。
二年半位離れていただけでも、町が相当変わっていて、新しい場所に来たような気持ちになる。
タオさんは道路を渡ると、路地の中に入った。
こっちにアイスクリーム屋さんがあるのかな？
「A！見てみて！」
タオさんが嬉しそうに手招きするので、駆け寄ると。
「ホラ！可愛いでしょ！」
「あ、うん。可愛い…ね。」
見上げると、ペットショップ。
アイスクリーム屋さんじゃないの？
ベッキョンさんを振り返ると、諦めろといわんばかりに首を振られた。
ああ…これがＡＢスタイル？
皆の言葉を思い出していたら。
「あ、あれ！」
タオさんに手を引っ張られ、向かいのお店に。
シルバーのアクセサリーが並ぶショーウィンドウを食い入る様に見つめる姿は
本当に子どものようで。思わず笑ってしまった。
「A、こーゆーの好き？」
私が笑ったのを見てタオさんがキラキラした目で尋ねてきた。
「アクセサリーは好きだけど、これは少し大きいかな？」
「そっか。そうだよね。Aはもっと可愛いのがいいよね。」
じゃあ今度お店さがしておくね！と嬉しそうに笑ってくれる。
その笑顔につられて私も笑顔になった。
「ありがとう…タオ。」
タオは一瞬びっくりした顔をしたけれど、すぐに笑ってくれた。
その後もあちこちに寄り道しながら進んでいく。
「おい。タオ。そろそろ帰らないと怒られるぞ。」
「うー。もうちょっと。だめ？」
「ダメ。Aまで怒られるぞ。」
「それはダメ！」
タオがしぶしぶ路地抜けると、目の前に大きな道路が見えた。
ここ、どこなんだろう？
路地を抜けて左に曲がった時。
視界がグラリと揺れた。
ここ…は？
タオが横断歩道を渡ろうとしているその先に。
路肩に置かれた白いバラ。
取り巻く全ての音が消える。
(A)
声が、したような気がした。
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ステラ(プロフ) - ゆにさん» 初コメありがとうございます！楽しみにしてくださる方がいるなんて…（涙）のんびり更新ですが、頑張りますね！ (2014年7月4日 21時) (
レス) id: eda0fb1300 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに - 面白いです（＾Ｏ＾）続きが楽しみです〜！更新頑張ってください*\(^o^)/* (2014年7月1日 21時) (レス) id: f8d1d6729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ステラ | 作成日時：2013年11月3日 7時
