職業：女優１０

告白 ページ39

＊吉沢亮 Side





「今度はちゃんと守るから。俺と付き合ってください」



もうちょっと驚くかなとか、このタイミング！？って言われるかなとか、いろいろ思ったけど。
Aは少し瞳を丸くしただけで、あとはとても冷静だった。
やっぱり俺の気持ちには気付いてたんだなと確信する。



「……本気？」


「本気に決まってる」



こんなこと、冗談で言えるか。
俺はそんなキャラじゃない。
それはAもよくわかってるはず。



「……私は、自分の事おススメしないよ？」


「……それ、遠回しに断ってる？」


「そうじゃなくて、最終確認」


「何それ」


「多分、私と付き合うと今まで以上にしんどいよ？ 大変だよ？ それでもいいの？」


「Aなら何でもいいよ」



また会えなくなって、苦しい思いをするよりずっとマシだ。
他の奴の隣で笑うAを見るより辛いことなんて起きないって言い切れる。
俺は菅田君みたいにはなれないから。



Aは黙り込んだまま、俺の顔をじーっと見つめる。
時々何か言いそうに口を開くけど、またすぐに閉じてしまう。
そんな様子を見ながらしばらく待ってみたけど、結局Aは何も言葉を発しない。
痺れを切らして



「返事、くれないの？」



と尋ねる。



「……後悔しても知らないよ」


「今までみたいにズルズル行って、他の男に取られる方がよっぽど後悔する」



そう言うと



「……亮ちゃん好きよ」



とAは小さく笑った。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す