職業：女優１０

過去の思い出話 ページ18

菅田将暉の楽屋に来てます。
まーくんは椅子に座って、だらーっとしながら携帯で動画を観てます。



「まーくん」


「……あー？」



さっきから呼んでもずーっとこんな感じ。
絶対聞いてない。



「ねー、将暉」


「将暉って」



携帯から私に一瞬で視線を向けるまーくん。
反応早っ。



「あ、嫌やった？」


「別に嫌ちゃうけど。何、急に」


「気分」


「お前はいつでも気分やな」


「気分屋やから♡」


「自分で言うな」


「まーくんと将暉、どっちがいい？」


「どっちでもえぇけど」


「強いて言うなら？」


「将暉が新鮮」


「じゃあまーくん」



そう言ったら、呆れたような目で私を見るまーくん。



「お前はホンマに天の邪鬼やな」


「そんなところも好きやろ？」


「……あのなぁ」



溜息まで吐かれてしまいました。
まぁそんなの知ったことではない。



「将暉、コンビニ行こ」


「は？」


「アイス食べたい」


「もう自由人過ぎてついていかれへん」



何を今更。



「そんなん言いながら、もうかれこれ何年のお付き合いでしょうね？」


「お前がデビューした年からや」


「え、もうそんなになる？」


「なるわ。覚えてないんか」


「はい、おてて繋いであげるから行こうねー」


「話を逸らすな」



そう文句を言いながらも、椅子から立ち上がって私の手を握るまーくん。



「わーい、ハーゲンダッツー！」


「一人で行ってこい」



ぱっと勢いよく手を離されたので、今度は私からぎゅーっと手を握る。



「嫌やし。早く行くで」



握った手を引くと、はーっとまた溜息を吐きながら歩き出すまーくん。
何だかんだ言って、この人は私に甘い。

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