職業：女優６

お兄ちゃんとCM ページ20

「A、喜べ」



楽屋に入ってきたみーちゃんが、私の顔を見て開口一番そう言った。



「なに、いきなり」


「CMが決まったぞ」


「うん？」


「嬉しいだろう」


「嬉しいけど、それがどうしたの？」



CMのオファーは初めてでもないし、普段のみーちゃんならこんな言い方しない。
みーちゃんの態度の意味がわからず不思議に思っていると、ニヤニヤしながら台本を渡された。



「見てみ？」



言われた通り台本に目をやると、出演者欄ところに私の名前。
その隣には



「え、ホントに！？」



大好きなお兄ちゃんの名前がありました。









「おはようございます！」



待ちに待った撮影の日。
少し早めにスタジオに入ると、既に健太郎君がいた。
私に気付いて、いつもの優しい笑顔で手を振ってくれる。



「おはよう、A」


「おはよう、けんたろーくん！」


「元気だね」


「けんたろーくんと一緒だもん！」



ぎゅーっと抱きつくと、健太郎君も抱き締め返してくれる。
もう私と健太郎君の会ったときの恒例儀式。



「昨日ね、なかなか寝れなかったの」


「なんで？ 忙しかった？」


「ううん、今日が楽しみすぎて！」


「そういうことか(笑)」



ふわーっと笑って、頭を撫でてくれる健太郎君。
あぁ、もうマイナスイオン出まくり。
癒しだよ、癒し。
そんな私達のところに、ニコニコしながら監督がやって来た。



「やっぱり仲の良いね」


「あ、監督。おはようございます」


「本番もその感じでお願いね」


「はい！」

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