職業：女優２

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その後しばらく飲んでお開きになって。
Aをタクシーに乗せて、ばーちーさんと２人。



「よかったね、吉沢さん」


「ばーちーさん、本当にありがとう」


「やっぱり好き？」


「……うん、好き」



今日で再認識した。


忘れてなかった。
忘れられてなかった。


やっぱり、Aが好きだ。



「今度は、積極的にいかないとダメだよ」


「……うん」


「わかってると思うけど、Aはかなりモテるからね。本気でガツガツ行かないと、ただのその他大勢で終わるよ」



そう言ったばーちーさんは笑顔なんだけど、目は笑ってなくて。
あぁ、他にもAの事を好きな人がいて、この人はそれを知ってるんだなって思った。



「……ばーちーさんはAのこと好きなの？」


「俺？ 俺の好きは吉沢さんの好きとは違うよ」


「どういうこと？」


「好きは好きだけど、友達とか妹とかそっちの好きかな」



ほっとする俺の肩にぽんっと手を置いて



「吉沢さんが変わるチャンスだね、応援してるよ」



って、ばーちーさんは笑った。





今度は大丈夫。
Aには全力でぶつかろう。
俺を見てもらえるように。
Aの特別になれるように。
その結果、もしAが俺じゃない人を選んだとしても
少しも後悔しない様に。



そう決意して、俺はアドレス帳からAの名前を開く。





「もしもし、A？ さっきはありがとう。……今度さ、２人で遊びに行こう？」







俺の恋のはじまり

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