稲荷の狐と夜叉の花姫2【まふまふ】 (ページ19)

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63話ページ19

坂「せやな。最近はどこもギスギスしとるし」

ぽつりと、少しだけ哀愁を込めて坂田が言った。やはりバレていたようだ

タヌキとキツネの里の合同調査が行われるようになって、約二週間

週に一度集まって、調査結果と分析結果を発表するだけの集まりだ。しかし参加率が異常に悪い

それぞれ5人で構成されるチームの両者が、全員揃ったことは未だかつて無い。理由は簡単だ

ま「なんでこんなに仲悪いんだろうね……キツネとタヌキって」

里に精通している者、ということでキツネ側はボクとそらるさん、連絡係を入れて3人の住人が調査団となっている

タヌキ側はうらたさん、うらたさんのお付の2人、それから連絡係を入れた3人の住人

里に精通している者、つまりはここに長くいる住人だ。生前から里に住んでいたものたちなので、当然成り立ち等を含め調査に最適である＿＿＿＿性格を除けば

坂「最初からいてまだ成仏してへんってことは、恨みとかが強いやろなぁ。その矛先が仲悪い人に向いたりしとるんかな」

ま「面倒臭いことにその通りだよ。連絡係だけは若年なんだけど、それ以外が全く集まってくれない」

茶葉が底に溜まったお茶をごくりと飲む。苦味がぐっと来たので、お茶請けの落雁を一つつまむ

ま「調査はボクらだからいいんだけど。分析結果だけ送ってもなんのための話し合いなのかわからないじゃん……そもそも連絡係って緊急用なのに毎回使ってるし」

う「ほんとに。なんのための俺らだよって話だよなー。あ、お茶と大福2つずつお願い」

ま「そうそう。こんなんじゃまともな話し合いとは呼べ……」

口に含んだお茶が器官に入り、思い切りむせる。隣で坂田が目をきらきらさせていた

坂「うらさん！え、いつ！？いつ来たん？」

う「さっき。いつも頑張ってる連絡係ちゃんにご褒美でもね」

傍らの少女がぺこりと礼をする。タヌキのあやかしらしいタレ目と茶髪で、愛嬌のある顔立ちだ

う「この子がいる時点でわかるだろーけど、今日もタヌキ側は欠席だぜ。まったく、古狸どもには困ったもんだ」

坂「いや一番の古狸うらさんやん」

う「うるせぇ。俺はいいんだよ」