【d!】天と地の吸血鬼Ⅱ (ページ31)

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78話ページ31

ヒプノ視点

俺の...本当に欲しかったもの...

――――――――――――――――
__年前

僕のママは人形が大好き

いつも人形を作って僕にくれる

でも、ある日...パパとママが別れてから...ママの様子がおかしくなった

｢何してるの？｣

｢人形遊び！ママが作ってくれた人形で遊んでるんだ｣

｢人形...？｣

ママは突然僕が持っていた人形を取り上げゴミ箱に入れた

｢な、何するの...｣

｢いい？あなたはもうすぐ小学生なの。小学生で人形遊びなんかしてると笑われるのはママの方なんだから！｣

そうママは怒鳴る

ほとんどの人形は捨てられたがママが作ってくれた最後の人形だけは棚の隅などに隠し捨てられないようにした

｢学校まで歩きなさい｣

｢...え？｣

朝食など何も用意しないママはそう一言僕に言った

学校の場所は隣町。かなりの距離なので歩きはキツい...前までは車で送ってくれたが歩きだなんて信じられない

｢何？歩けるでしょ？ママ疲れてるの｣

｢...分かった...｣

制服を着てランドセルが無いのでリュックを背負った

家を出て歩く

学校の名前などを道を歩いている人や交番の人などに聞きやっとの思いで学校に着いた

席に着くと、たった1人の僕の友達、Aが声をかけてくれた

『大丈夫？今日は遅かったね...2時間目終わりに来るなんて...』

｢ママがね...歩きで行けって...｣

僕はそう言うとAは...

『そんな！隣町なんでしょ？家...歩きだなんて可哀想だよ！』

すると、グゥと僕のお腹が鳴った

『ご飯...食べてないの？』

｢作ってくれないんだ...｣

『僕のお弁当分けてあげる！食べて！』

｢え、あ...ありがと...｣

『いいよいいよ』とAは笑う

｢今日はありがとね...｣

『うん！一緒に帰れたらな...家遠いでしょ...』

｢大丈夫だよ...いつかは一緒に帰れる...待ってるから｣

そう僕は笑った

本当は一緒に帰りたい...一緒にいたい

Aに手を振り家に帰った

｢ただ...いま｣

｢...ちょっと来なさい｣

ママの目はあの優しい目ではなかった...

腕を引っ張られ部屋に投げ出される

｢今日家に警察が来たのよ。あんた...誰かに私の事言ったの？先生？友達？誰なのよ！言ってみなさい！！｣

｢と...友達っ...友達にしか言ってない！｣

殴られる...そう思い身を縮める

だが、ママは何もせず部屋を出ていった