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今のうちに、買うものリストアップしておこう…
携帯を取り出して、メモに書き連ねていく。
パジャマ、洗顔…ヘアアイロンも置かせてほしいな…仕事用のシャツ…どうせなら新調しちゃお。
普段着は家から持ってくるとして…
「…ん、お待たせ!終わったよ。」
私のリストアップと倫也さんの書き物が終わるのはほぼ同時だった。
出る前に一服させて、とベランダに向かう彼に便乗した。
「何買うか決まった?」
「はいっ…これ。」
携帯を渡してリストを見せる。
「…なるほど。じゃあ1つずつまわるより、大きいとこ行ったほうが早そうね。」
ふぅ、と吐き出した煙は空に混ざるように溶けた。
「よし、行こっか。」
久々の助手席はあの日を思い出して、少し特別感が増していた。
緩む頬を隠すように窓の外を眺めて、すぐに気付かれた。
「なぁに、ニヤニヤしちゃって?」
倫也さんが目線だけをチラッと私に向ける。
「んー、あの日のこと、思い出してました。」
「あの日?…あぁ水族館行った日ね。」
「3ヶ月ほど前…でしたか?」
お互い記念日などに無頓着すぎて、大体それくらい…?と曖昧に顔を見合わせた。
たった3ヶ月程の間に、私の生活は大きく変わった。
あの頃はただ平凡に流れていく日常を消化しているだけだったのに、倫也さんと出会ってからはその時間がとても大切なものになった気がする。
劇的な何かではなくて、小さなことが積み重なって…
消化するだけだった日常をちゃんと味わうようになった…というか。
幸せって、こういうことなのかな。
言葉にするか一瞬考えて、それは野暮だと飲み込んだ。
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高木(プロフ) - emiさん» 素敵なお言葉をありがとうございます。まだまだ書きたい話があるので、まだまだお話は続くと思います。話数の割に展開が緩やかですが、気長に見守っていただけると幸いです。今後とも宜しくお願い致します! (2020年6月2日 6時) (レス) id: 34107c5216 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - すごく良かったです。一気に読んでしまいました。水族館の帰りの告白からのところ、好きでした。あと、喫茶店で、主人公の本音が溢れてしまうところ泣けました。どんどん読み進めてしまって、もったいないことしたかも。。。って少し後悔。でも、我慢できなかった〜。 (2020年6月2日 4時) (レス) id: ce60033505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:高木 | 作成日時:2020年5月31日 9時