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「ねぇ、私お腹すいた!」
「そうだな、どこか入るか。何がいい?」
映画館からレストランフロアに移動して、遅めの昼食を済ませた。
「この後どうする?何か見たい店とか。」
今日の健は私の意見を尊重してくれるらしい。
「そうねー…適当にぐるっと周ろうか?」
割り勘でいいと言っているのに、健は
「付き合わせてるんだから、俺が出す!」
と譲らず結局ご馳走になってしまった。
今日の健は、いつもより機嫌が良い気がする。
映画、そんなに面白かったのかなぁ…
色んなショップを見て、2人であれがいいこれがいいと盛り上がり、あっという間にモール内をほとんど周ってしまった。
「あ、ねぇねぇ、あの雑貨屋さん、覗いてもいい?」
モールの1番端の雑貨屋さん。
シンプルでオシャレな小物が多く、私のお気に入りのお店の1つだった。
健はいいよ、と快くついて来てくれた。
「このバレッタ可愛いなー。」
目に付いたのは、アンティーク調の淡い色合いのバレッタ。
「おー、Aに似合いそう。髪伸びたし、いいんじゃね?」
「そうよねぇ…」
チラッと値段を見ると、そこそこいい額面だった。
「んー…欲しいけど…悩む。」
お財布と相談しないと、と考えていると健がそのバレッタを手に取ってレジに向かって歩き出した。
「え、ちょっと!まだ決めてないから!」
「いいの!今日付き合ってくれたお礼だよ。」
「いやいや、今日全部出してもらってるし悪いよ!」
「うるせえなぁ。今日くらいカッコつけさせろよ。」
そう言って、そのままお会計を始めてしまった。
「なんか…今日の健変だよ…?」
いつもより機嫌がいい…いや、優しい。
元から優しいけど、いつものそれとは何かが違う。
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高木(プロフ) - emiさん» 素敵なお言葉をありがとうございます。まだまだ書きたい話があるので、まだまだお話は続くと思います。話数の割に展開が緩やかですが、気長に見守っていただけると幸いです。今後とも宜しくお願い致します! (2020年6月2日 6時) (レス) id: 34107c5216 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - すごく良かったです。一気に読んでしまいました。水族館の帰りの告白からのところ、好きでした。あと、喫茶店で、主人公の本音が溢れてしまうところ泣けました。どんどん読み進めてしまって、もったいないことしたかも。。。って少し後悔。でも、我慢できなかった〜。 (2020年6月2日 4時) (レス) id: ce60033505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:高木 | 作成日時:2020年5月31日 9時