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しばらくそうしていると、今度は顔を上げるタイミングがわからなくなってしまった。
昔から自分の感情を表現するのはあまり得意ではなかったのに、こうやって面と向かって甘えるような行動をしてしまうのは、倫也さんが放つ優しい空気感のせいだと思う。
頭に添えられた温かい手の指先が、時折くしゅ…と髪を掻く。
倫也さんの匂いと体温が心地良くて、ふんわりと微睡み始める。
「Aちゃーん、このまま寝ちゃうでしょ？」
頭上から響いた言葉が、私の意識を引き戻した。
絶好のタイミングだ、と体を起こした。
「起きてますよ…」
顔に眠たいって書いてあるよ？と困ったように微笑む。
時計を確認すると、深夜2時をまわろうかという所だった。
「先にお風呂入っておいで。俺はまだ起きてられるから。」
子供に言い聞かせるように、背中をとんとん、と叩かれた。
こくん、と首を縦に振りバスルームに向かった。
先程倫也さんが並べた歯ブラシは、ごく自然にそこに馴染んでいた。
お湯張りを待てなくて、シャワーで済ませて髪を乾かすのもそこそこに倫也さんの所に戻った。
「ちゃんと乾かさなきゃ…」
半乾きのまま水を飲む私に気付いてドライヤーを持ってきた倫也さんが、おいで、と優しく呼んだ。
大人しく倫也さんの膝を割ってソファの足元に座り込むと
いつかと逆だね？と、聞こえてすぐに温風を当てられた。
ゴォ…と全てを掻き消す音の中で、小さく
「すき、」
と呟いた。
ドライヤーの轟音に吸い込まれた言葉は、もちろん倫也さんには届かないけれど。
私はとても満ち足りた気持ちになって、そっと背後に体を預けた。
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高木(プロフ) - emiさん» 素敵なお言葉をありがとうございます。まだまだ書きたい話があるので、まだまだお話は続くと思います。話数の割に展開が緩やかですが、気長に見守っていただけると幸いです。今後とも宜しくお願い致します！ (2020年6月2日 6時) (
レス) id: 34107c5216 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - すごく良かったです。一気に読んでしまいました。水族館の帰りの告白からのところ、好きでした。あと、喫茶店で、主人公の本音が溢れてしまうところ泣けました。どんどん読み進めてしまって、もったいないことしたかも。。。って少し後悔。でも、我慢できなかった〜。 (2020年6月2日 4時) (レス) id: ce60033505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：高木 | 作成日時：2020年5月31日 9時
