きっと、何度でも【岩谷翔吾】 (ページ10)

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仲良くなれる保証ページ10

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翔吾side

────────2011年7月

俺は着実に学校に馴染んでいって、Aちゃんに移動教室の案内をされることもなくなったし、おまけに席も離れ離れになった。

『…翔吾くん、だよね？』

翔吾「あ、どした？」

『隣いい？空いてなくて』

俺は、図書室で期末テストのための試験勉強をしていた。

テスト期間で、図書室は大人気
だから、たまたま俺の横しか席が空いてなかったんだ。

断る理由はもちろんないから、二つ返事でいいよと言って、横の椅子を引いた。

『あ…あのさ、英文訳した？』

翔吾「うん、したよ」

『ちょっと見せて欲しい…って言ったら怒る？』

翔吾「ん、これ？」

『え、いいの？』

翔吾「ええよ」

『うわあ、ありがとう…』

参考にさせていただきます！
って言いながら、教科書と自分のノート交互に見て、一生懸命書いて

ちょっとだけ不器用というか、不真面目なところはAちゃんの意外なポイントのひとつで

だけど、好きな子のお願いだから…役に立てるなら立ちたい

「あ、Aだ。お前ちゃんと勉強してんの？」

『してるよ、』

「再試かかって部活休むなよー」

『分かってる』

Aちゃんに話しかけたのは、俺の見たことない、多分違うクラスの男子
それだけ言ってどこかに行くと、Aちゃんは明らかに嫌そうな顔をしていた。

翔吾「友達？」

『うん、同じ部活の人。図書室なのに、うるさかったよね？ごめんね』

翔吾「…A」

『ん？』

翔吾「って、呼んでもいい？」

『あっうん。いいよ？』

彼女のことを当たり前に呼び捨てで呼んでいて
何も知らないけど、仲良いのが伝わってくるみたいだった。

呼び捨てにしたからといって、仲良くなれる保証なんてないけど

翔吾「じゃあ、これからはそう呼ぶな。Aって」

『…うん、分かった』

そう言うと、すぐに彼女は自分のノートと向き合って、ペンを持った。

俺も、それを見て自分の勉強に戻ろうとした時

『男の子から呼び捨てされることもあるけど…なんだろ、翔吾くんに言われると違うね』

きっと、俺にだけ聞こえるくらいの小さな声だった
でも、そう思えないくらいハッキリと聞こえたんだ

反射的に彼女の方を見ると、ノートに文字を書く手は止まっていて、俺の方を見ていた

その顔はいつものニコニコ笑顔じゃない、見たことのない顔だった