きっと、何度でも【岩谷翔吾】 (ページ21)

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側にいるページ21

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翔吾side

────────2012年9月

『…全然、写真送ったよ？』

翔吾「この目で見たかったの」

今日はAの高校の文化祭

初めて来たAの学校は慣れないし、1人で来るのには緊張したけど
そんなことよりも、隣にいるAの格好

どこに居ても目立ちそうな、真っ赤なチャイナ服
…しかも、

翔吾「こんなスリット入ってるなんて聞いてへんで？」

『なんかね、ここもうちょっと閉じれないか相談したんだけど、結局このままで…着させられた』

問題はそのスリットだけじゃない。
めちゃくちゃ体のライン出てるし…

その格好が気になって仕方ないけど、俺はもうすぐしたらスタジオに戻らないといけない。

それでも今日会いに来たのは、Aの顔を見たかったのと
ひとつ伝えたかったことがあったから。

翔吾「GENEさんデビュー決定したよ」

『えっ、そうなの？』

翔吾「これ内緒ね？」

『うん、もちろん』

もう少ししたらMVの撮影、デビューイベントの準備…
俺は少しだけど、そこにサポートとして参加する。

Aに報告したら喜んでくれたけど、その後少し黙り込んだ。

翔吾「…どうかした？」

『…え？何でもないよ』

翔吾「ほんま？」

『うん…いや、私って翔吾くんが有名になってもずっと応援してるんだろうなって思って』

珍しく静かになったと思ったけど、そう言ってAは笑っていた。

『あ、翔吾くんごめん。私呼ばれちゃった』

翔吾「そっか。じゃあ、頑張って」

『うん、忙しいのにありがとうね』

翔吾「俺が会いたかっただけやから」

『…照れるよ』

周りに人がいないことを適当に確認して
ほんの一瞬、Aの頬にキスを落とした。

翔吾「でもその格好であんまウロウロせんといてな…？」

『あっ…うん、私もできるだけこの格好で歩きたくないから、ね』

翔吾「うん…他校の人も来るやろし」

『そうだね、』

翔吾「…1人でおると危ないから、気をつけて」

『うん、1人でウロウロしない』

本当は、Aに何かある前に守りたい。
でもAのことを確実に守るためには、側にいること以外にない。
だから、こんな風に言うことしかできない自分が悔しかった。

俺が隣にいない時も、Aが笑っていることを願って
俺はいつものスタジオに向かった。