きっと、何度でも【岩谷翔吾】 (ページ23)

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雪が積もったらページ23

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翔吾side

────────2013年1月

翔吾「ごめん、寒いよな？」

『ううん、私雪好きだから』

翔吾「答えになってないって、笑」

年明け、Aと待ち合わせした時には雪が降っていた。
東京に雪が積もらないことは去年から知っていたけど
雪が降れば、例え積もらなくても気温は下がる。

翔吾「ね、見て」

『ん？』

翔吾「作った」

地面の上の雪をかき集めて作った雪玉
それを右手に持って構えると

『えっ待って、やめて、それ痛い？』

翔吾「受けてみんと分からんで？」

『翔吾くん、いじわるだよ』

翔吾「たまにはええやろ？こういうのも」

『…これが、あの時の仕返しなら…受けて立つ』

あの時っていうのは、Aに後ろから驚かされた時のことを言ってるんだろうか。

翔吾「ま、投げへんけど」

そう言いながら、俺が地面にそれを思いっきり投げつけると、横で安心した様子のA
その様子を見て、そんなに怖かったのかと思うと、ビビるポイントがお互い違いすぎて、少しおかしかった。

『いつか雪だるま作ってみたいな～』

翔吾「作ったことない？」

『んー…記憶ではないなぁ』

翔吾「そっか…雪積もったらできるんやけどな」

『雪積もったら、か…』

特に変なことは言ってないつもりだけど、急にAが難しい顔をしだした。

翔吾「…どした？」

『でもさ、雪だるま作りたいって言っても私の友だち…誰も賛成してくれないんだよ』

翔吾「友だちが？」

『そう、寒いから無理って』

難しい顔の原因はめちゃくちゃ可愛いお悩みだった。
こういうところ可愛いでしょって自慢したくなるけど、誰にも知られたくないとも思う。

翔吾「じゃあ、約束するわ」

『えっ、なんの約束？』

翔吾「今度、東京に雪が積もった時に一緒に雪だるま作ろ」

Aの顔が分かりやすく変わっていく。
まさに、喜怒哀楽の喜。

この約束一つだけでこんなに嬉しそうにしてくれる彼女が隣におるって
俺はどんだけ幸せなんやろ。

翔吾「あれ案外大変やで？思ったより綺麗な丸むずいし」

『そうなの？でも、その時はセンスで何とかするよ！』

しょうもないって言ったら、Aに怒られそうだから言わへんけど

大きな約束じゃなくてもさ、Aとした約束ならどんな約束も
俺には守っていける自信があったんだよ。