きっと、何度でも【岩谷翔吾】 (ページ18)

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写真の中の2人ページ18

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翔吾side

てっぺんに昇っていた太陽はもう色を変えていて、ゆっくりと暮れていく

あと何乗ってないかな？
そんな話になって、たどり着いたのは観覧車

高所恐怖症の俺にとったらこれも中々しんどいけど、そんなことは言っていられない
もう俺はAのことを1人にはしておけないし、ね

翔吾「楽しかった？」

『…楽しかった！』

翔吾「そっか、よかった」

『…』

翔吾「…なんか、喋って」

『…気を紛らわすために？』

翔吾「もー…」

Aは俺の斜め向かいに座って、イタズラに笑ってる

『んー、じゃあ、こうしよう！』

いきなり声のボリュームを上げて、そんな風に言った。

自分の隣の席に置いていた鞄に手を入れて、出てきたのは茶色の紙袋

『…これ、どうぞ』

翔吾「え、何これ」

『開けて見て』

翔吾「…うわ、すご。これAが作ったん？え、いつの間に」

『翔吾くんと比べたら、私暇しかないよ』

茶色の紙袋に入ってたのは、両手と同じ大きさくらいの黒い横長のアルバム

めくると、Aと初めて撮った写真が映っていた
まだ付き合う前の写真、場所は学校の近くのファミレス

『翔吾くん、誕生日おめでとう』

翔吾「え、知ってたん？」

『え？当たり前だよ』

翔吾「うわ…マジか」

『本当は翔吾くんの写真ばっかりにしようかなとか思ったんだけど…それなんか違うな？って思って、こうなりました！』

めくれば、めくるほど
どんどん仲良くなる2人がいる

Aに出会ってもうすぐ1年
付き合ってからだと、まだ日は浅い

なんでこんなにAのことが好きなんだろう、そう不思議に思うくらい

翔吾「A、こっち来て」

『揺れちゃうかもよ？』

翔吾「いいよ」

Aは鞄を置いたまま、俺の隣にゆっくりと座った
それを確認して、俺はアルバムを閉じた

『続きはお家で見る？』

翔吾「ん、そうする。本当にありがとう、マジで嬉しい」

『よかった…』

翔吾「…A？」

『ん？』

翔吾「好きやで」

夕日が照らす観覧車の中、案の定照れたAの唇に軽く触れるキスをしたこと

忘れない。