きっと、何度でも【岩谷翔吾】 (ページ14)

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おめでとうページ14

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翔吾side

────────2011年12月

『…どうだった？』

翔吾「いいって言ってもらえた」

『え、本当に？』

翔吾「うん」

初めて、親にわがままを言った
今まで、何1つ文句なんて言ってこなかったのに

ダンスを続けることができる高校に行きたい。
特待生で入学して、学費免除してもらうから。

そう断言してから、3ヶ月。
内申点と面接での受験、結果は全生徒の10位以内。
特待生、学費免除。

カメラロールに収めておいた合格通知を向けると

『わ…ほんとだ…』

そう言う彼女は、その画面からしばらく目を逸らさず
じーっと見つめ続けて、その目に涙を浮かべた

翔吾「もらい泣きするから、泣くのはなし」

『…ん、ごめん』

その涙がこぼれ落ちる前に、横から親指で拭うと
彼女は顔を隠して、必死に目元を擦った。

翔吾「あー、そんなしたら腫れるからあかん」

『っごめん、』

翔吾「…なんで、Aが泣いてんの」

その手を退けると、Aは大人しく下に降ろした
そしたら案の定、目元が少し赤くなってる

これが、初めてAの涙を見た日だった。

『…冗談なしで、自分の合格より嬉しいかも』

翔吾「それはさすがに嘘やな？」

『…嘘じゃないって言ったら？』

翔吾「んー…ありがとう？」

そう言って笑ってみせると、Aの涙は一気に引っ込んで
一瞬で、満面の笑みになった。

『ほんとにほんとにおめでとう！』

翔吾「うおっ、」

俺に抱きついてから顔を上げたAは、涙で目元を濡らしたまま、笑ってみせた。

俺の事だけど自分の事のように、ほんまに嬉しそうにすんねん。
あれ？俺ってAのために受験頑張ってたんやっけって、そう錯覚するくらい

でも、それも半分本当のことだった
Aに断言したから、かっこ悪い自分は見せたくないって思ってたのはほんまやから

『やっぱ翔吾くんすごい。すごすぎる…』

翔吾「また大袈裟してんな」

『大袈裟じゃなくて、本当のこと』

Aはまた、俺の事を言い過ぎなくらいに褒めてくれた。

俺にとっては、いつも前向きで笑顔を見せてくれるAの方が何倍も何十倍もすごい存在なんやけど

なんて、心ではそう思いながら

翔吾「…背中押してくれて、ほんまにありがとう」