それだけ ページ42
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もうそろそろ日付が変わりそうだという頃に、解散する雰囲気になってきた。
壱馬「嫌やったら嫌って言ってええよ?」
『大丈夫です』
壱馬「でも、女の子にお願いすることじゃないよな…」
相変わらずソファでぐったりしてる北人くんを横目に、壱馬くんが申し訳なさそうにしている。
この、何とか自立して歩けるくらいの状態の北人くんを送り届けるという任務。
大丈夫です
だって私、北人くんには借りがあるから…
むしろ、その借りを返すためにも、今日は私が責任をもって送り届けます!
壱馬「俺、ついていこうか…?」
『それは申し訳ないですよ、』
壱馬「いや、でも…」
『明日も朝からあるんですよね?』
さっき話してるの、聞こえたんだ。
他のメンバーさんは家が違う方向らしく、
そして、なぜか北人くんも私と帰ると言っているらしく、
流れでこういうことになったけど
壱馬くんが謝り続けるのもなんか違う気がして、
『そんな、壱馬くんが思ってるほど大変なことじゃないですよ』
壱馬「…ほんまに?」
『北人くんも自分で歩けるし、大丈夫です!』
北人くんが歩けないほど酔ってたら、さすがに少し大変かなって思うけど…
このくらい全然平気だと思う。
壱馬くんが何をそんなに心配してるのか、分からないけど、
私そんなに頼りないかな…?
壱馬「ごめん、そんな顔させるつもりはなくて…じゃあ、お願いしてもいい?」
どんな顔しちゃってたんだろう、?
壱馬くんから、北人が無くすといけないから一応って
北人くん家の鍵を受け取って
それとフラフラの北人くんを受け取って
壱馬「あ、あと」
『はい、?』
壱馬「連絡先だけ…交換してもらってもいい?」
『…私のですか?』
壱馬「心配やから」
流れですんなり、私の携帯に壱馬くんの連絡先が登録される。
目の前の壱馬くんはなんとも思ってないってことも分かってる
心配だから、ちゃんと着いたら教えてってそれだけ
だけど、
新しく追加された連絡先に、
壱馬くんの連絡先に
どうしてだろう
私は嬉しいと思ってしまったんだ。
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作者名:はるの | 作成日時:2020年10月16日 11時