夢見る隙間（壱×北） (ページ36)

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風船ページ36

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北人side

北人「遊び疲れた〜」

『ほとんど乗りましたね』

一通りアトラクションを楽しみを終わって、日も落ち始めた。

前を歩く壱馬と翔吾の後ろで、俺は子どもみたいに風船持って喜んでるAと並んで歩く。

…遊園地のキャラクターのくまさんに
風船貰って喜んでるA、かわいかったな

見た目は大人っぽいけど、中身は案外子どもで、普通の女子大生
そのギャップもまた、俺の中のツボで

『あ…』

北人「ん？」

『北人くん、先、行っててください』

そう言って、Aは走り出していった。
その先には泣いている女の子とそのお母さん。

声まで聞こえてこないけど、駆け寄ったAは軽い会釈をして、すぐに女の子の背丈に合わせてしゃがんだ。

普段、会話する時でさえ言葉つまらせたり、渋る時あるのに
こういう時は咄嗟に行動出来るんだ

翔吾「北ちゃーん？」

北人「…あ、先行っててー」

中々後をついてこない俺らを翔吾たちが心配したのか、声を掛けられる

俺も先に行っててって言われたけど、予想してなかったAの行動に思わず目を奪われてしまう。

しばらくすると、Aはその女の子に自分が持ってた風船を渡して、その子のお母さんと少しだけ会話して、
こっちに戻ってきた

『先行ってていいって言ったのに…』

北人「優しいね」

『小さい子が泣いてるの、見たくないですよね』

北人「うん…でもAはいいの？風船」

『私、風船なくても泣きませんよ？』

北人「え？」

『え？って何ですか』

いつの間にか、ちゃんと俺の小ボケにも突っ込んでくれるようになってる

さっきまでは風船持ってたAをただ純粋に可愛いなって思ってたけど
Aの優しさを近くで感じて、知って、

だから俺、好きになったのかな。
やっぱり俺の目は間違ってない。

何の根拠もない考えを巡らせていた。