夢見る隙間（壱×北） (ページ27)

今日:8 hit、昨日:28 hit、合計:273,628 hit

期待？ページ27

.

北人くん家のキッチンに立ち、
意外と揃っている調理器具を見て、やっぱり時間がある時は料理してるんだと納得する。

まな板と、包丁と、フライパンと、

『ボールってどこですか？』

北人「あ、ちょっと待って」

北人くん、どこから取り出すんだろ
…って、

近いんですけど…

私の後ろに北人くんがいる
私の頭の上に北人くんの手がある

北人「ボールね、上にしまってんの」

こんなことになるなら、避けたのに
両サイドから手が伸びてるから、もう避けれないし…

北人「あ、ごめん。近かった？」

『いや…はい』

北人「あ、もしかして照れたの？」

なぜか満足そうに、私の顔をのぞき込む北人くん
なんか…悔しいな
やっぱり、この人いじわるだ。

あー、もう早く準備しよ。
お腹空いたし、

餃子は昔実家でよく作ってたから、作るの好きで、食べるのも好き
もう少しで包み終わるころ、北人くんは冷蔵庫の方に向かった。

北人「お酒ちょっとだけあるけど、飲む？」

『ちょっとだけなら…』

北人「お酒強い？」

『激弱です、遺伝的にも全くダメで』

お母さんもお父さんもお酒飲めなくて、
私も飲めないのかな…って思いながら20歳になった年にワイン飲んだら
トイレから一向に出れず、今までに無い経験
…あとは察してください

その話をしたら、北人くんに大爆笑された。

北人「あ、そういえば壱馬に会った？」

北人くんは餃子を焼きながら、そう言った。
“壱馬くん”って名前を出されて、体が少しビクッとする

『あ、会いました』

北人「やっぱり、Aだったか」

『…なんか言ってました？』

北人「ううん、特に」

…私は今、何を期待したんだろ