夢見る隙間（壱×北） (ページ12)

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高級マンションページ12

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本当に本当に、私の横に歩いてる人は芸能人なのでしょうか。
あまり近寄ってはいけない気がして、少し距離を開けて隣を歩く。

「僕のことわかります？」

『あ〜…』

「…知らないかあ、」

芸能人で、ほくちゃんって呼ばれてること以外は何も…本名知らないし…
でも、私が言葉を詰まらせたことで一気にテンションを低くするのを見て

ああ、もういいや！

『…ほくちゃん、ですか？』

「…え？」

『あ、あの！すいません！』

「…嬉しい」

『え？』

「…嬉しいです！」

そう言って、私の両手を勢いよく握った彼。
その真ん丸で綺麗な瞳がわたしには眩しすぎて、思わず目をそらす。

その様子を見て、彼は慌てて手を離した。

「あっ、ごめんなさい。つい…」

『いえ…大丈夫です』

それにしても、どこまで一緒に歩いてくれるんだろう。
もう家、着いちゃいそうなんだけどな

『あの、私ここなので…』

「え、これですか？」

『あっはい、これです』

「奇遇ですね、僕こっちなんすよ」

そう言って、指したのは私のアパートの真隣だった。
この高級マンション…！？
さ、さすが芸能人だ…本当に芸能人だ…

「あのー…お名前聞いてもいいですか？」

『え、私ですか？』

私の名前を聞いてどうするんだろう…
きっとこのお方にはこの先なんのためにも、役にも立たない私の名前…

でも、目の前でこんなにかっこいい人がお願いしてるんだもん
言わない以外の選択肢はない。

『立花Aと、申します』

「…立花さん」

『はい…』

「…Aさん」

『…はい』

「…覚えました！これから、よろしくお願いします」

そう言って、私の目の前に出された右手。
え…握れということ？握手ということ？
恐る恐る私も右手を伸ばすと、すぐ掴まれた。

「ご近所さんですし」

『あぁ…はい』

「じゃあ、また」

ニコッと笑って、自分のマンションの方に帰っていった。

本当に芸能人なのかな…？
確かにすっごくかっこいいけど、なんで私みたいな一般人に構うんだろう
…何か気に触るようなことしたかな？

考えても考えても分からない。
またって、なんでそんな簡単に言えるんだろう。

…あ、まず本名調べなきゃ。