漆 ページ9
フィシャー・タイガー逃亡の数日後、今日も緋沙那はいつもと変りなく逃走中だった。
ただ、今日の追手はいつもと一味違った。
建物から建物へと縦横無尽に逃げ回る緋沙那だったが、いつもより慎重に気配を消しつつ移動していた。
その訳は
「ぶわっはっはっは。相変わらずのお転婆っぷりじゃ。」
「笑い事ではありませんよ、ガープ中将!あの方の相手は中将にしか出来ないんですから。」
「何じゃ。9歳の子に負けるとは情けないのぉ。」
"海軍の英雄"と呼ばれているモンキー・D・ガープが遠征から帰って来ていた為、現在緋沙那を捕えることが出来る人材の中で比較的自由に行動でき、彼女からもかなり懐かれていることから派遣されるのだ。
ガープ自身、自分の孫の様に可愛がっている緋沙那とのこの大規模な鬼ごっこは楽しく、呼ばれれば毎回部下の訓練も兼ねて彼女を捕まえに来ていた。
「うぅむ。以前よりも格段に気配を消すのが上手くなっておるわい。これは、見つけるのに時間が掛かるぞ。」
『うげ!…努力します。』
こうしてガープ率いる海軍の"アデリア宮、捕縛作戦!"が開始された。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
そして開始から3時間後、海兵たちは疲弊しきっていた。
見つけた次の瞬間には猛スピードで逃げられたり、挟み撃ちにすれば建物の上まで身軽に壁を駆け上ったり顔を踏み台にされて逃げられたりと散々であった。
そうこうしているうちに体力切れになって次々と倒れ込む者達が増えていった。
《もうアレ、人類の限界とか軽く超越してるだろ!》
という共通の見解になった。
何もしなければ愛らしい緋沙那も散々振り回された彼らからすれば今やそこらの海賊より性質が悪い悪魔にしか見えないのである。
この様子に部下たちが追いかける様子を煎餅を齧りながら傍観していたガープは情けないと言いながらやっと本腰を入れて探すことにした。
それから1時間と経たないうち満足そうな顔をした緋沙那を肩車したガープが帰って来た。
「海軍に入れば絶対優秀な海兵になると思うんじゃが、流石にお前さんは誘えんからな。残念じゃのぉ。」
「私、絶対海軍向いてないヨ。(寧ろ、海賊の方が絶対向いてるネ。)」
「そんなことはない!アデリアなら絶対優秀な海兵になれるはずじゃ!」
ひたすら海軍に向いていると力説するガープに海兵たちは
《いや、能力的問題じゃなくって性格的な問題で無理だろ!》
と心の中で一斉にツッコんだ。
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小狐(プロフ) - 夜兎って名字ないんじゃないんですか? (2020年9月19日 1時) (レス) id: 21c3761e82 (このIDを非表示/違反報告)
小狐(プロフ) - 夜兎って 朱色の髪に青の目じゃないんですか? (2020年9月18日 21時) (レス) id: 21c3761e82 (このIDを非表示/違反報告)
獅音(プロフ) - 急に終わっちゃったのでビックリしましたが作者さんの都合もあると思うので出来るだけ更新頑張ってください (2019年5月3日 6時) (レス) id: 1ee8009000 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - 更新楽しみに待ってます(´^ω^`) (2018年2月6日 16時) (レス) id: c067e04ee5 (このIDを非表示/違反報告)
師走@体調不良の為、更新が停滞しております(プロフ) - 夢幻さん» 夢幻様 返信が遅れてしまい、、申し訳けございません。私生活の方が少々ドタバタしておりまして、中々書けない日々が続いております。一応頂上決戦までの大まかな流れは考えてあるので頑張って更新しますので、お待ち下さい。 (2017年4月27日 15時) (レス) id: 3dbe1cf590 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:師走@ボードに作品の進捗状況が書いてあります | 作成日時:2016年4月25日 5時