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モトキside
何が起きたのか、理解できなかった。
理解、したくなかった。
逆上した柳田がナイフを取り出して俺に向かって突き出してきた。男を取り押さえていたこともあって一瞬反応が遅れて、やばいって思った瞬間。
視界に誰かの後ろ姿が映った。
それは、紛れもなく
Aの姿で。
モ「Aっ!!!」
Aが俺の方に倒れてきて、男を抑えていた手を離して受け止めた。
暴れる柳田をシルクが羽交い締めして止める。俺やンダホが抑えていた男は逃げ出そうとしたけど。
「警察だ!大人しくしろ!!」
ちょうどさっき連絡していた警察が来て、呆気なく捕まった。
でも、この時はそんなのどうでもいいくらいAのことしか考えられなかった。
彼女の腹部は赤く染っていて、じわじわとそのシミが広がっていく。
モ「あ、……A……!」
『……モ、トキ……怪我、ない…………?』
モ「俺のことなんていい!Aが……! 」
『っ……ぅ………………。』
モ「…A?………A!!」
シ「モトキ!早くAを、」
モ「A!A………!お願いだから、目を開けて…!!」
シ「っモトキ!!!」
モ「っ!!シ、ルク………。」
シ「しっかりしろ!!ンダホの車で病院連れてく!早くしないとホントに手遅れになるぞ!!」
モ「あ……、う、うん……!」
気を失ったAを抱えて、ンダホの車へ走った。
車に乗り込んで、すぐ近くの病院に向かう。
ンダホはぐすぐすと泣きながら運転しててシルクに「泣くな!今は運転に集中しろ!」って言われてた。
連絡は入れてたから、病院についてすぐにAはストレッチャーに乗せられて手術室に入っていった。
「月島さーん!聞こえますかー?」
「止血剤用意して!」
「麻酔準備出来ました!」
連絡を入れていたとはいえ、10分経たない位で着いたため、看護師さん達がバタバタと忙しなく動いて、たくさんの声が飛び交っていた。
Aが手術室に入るまでが、まるで嵐のようで。Aの姿が見えなくなってどっと力が抜けて廊下にあった椅子に座り込んだ。
それと同時に、いろんな感情がグルグルと俺の中で渦巻いた。
なんで、こんなことになった?
なんの為に、俺達がいたんだよ。
あの子を、守るためだったはずなのに。
なんで、結局
Aばかり傷ついてるんだ。
どうしようもなく、ただただ自分の無力さを恨むことしか出来なかった。
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リィオ(プロフ) - みずきさん» 読んでくださりありがとうございます!申し訳ないですが、活動名は固定です。すみません……(--;) (2019年11月4日 11時) (レス) id: 86036bcecf (このIDを非表示/違反報告)
みずき - 活動名などは変えられないんですか? 楽しく読ませていただいてます。 (2019年11月4日 9時) (レス) id: 3bcdf4194e (このIDを非表示/違反報告)
HANA(プロフ) - 読んだよー!!続き!!!早く!!!(((o(*゚▽゚*)o))) (2018年10月22日 0時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リィオ | 作成日時:2018年6月6日 21時