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モトキside
シ〈…モトキ。〉
『……、何?シルク。』
俺がAの名前を呼んだ時。
当たり前だけど耳元ではシルクたちの困惑する声が聞こえていた。
シ〈Aが、そこにいるんだな?〉
『うん。』
シ〈…モトキ、今は時間がない。〉
『…うん。』
シ〈だから、Aとイベントの後にどっかで会おう。そんで、話をしよう。〉
『……わかった。』
Aにイベントの後、19時に昔俺たちがよく遊んでいた公園で待っててほしいと伝えた。
夜なら人もいないし、Aもわかる場所のほうがいいと思ったから。
Aは戸惑っていた。でも…………。
『お願い………ちゃんと、話がしたいんだ………!』
A「っ……。」
手が震える。
Aにも手の震えが伝わってると思う。
かっこ悪いけど、俺今すごく泣きそうな顔してる。
やっと、見つけたんだ。
みんなのためにも絶対にこのチャンスは逃しちゃいけない!
A「…わかっ、た………。」
『!』
了承の声が聞こえて、安心して手の力が抜けた。
手を離したら、Aは後ずさりしてまた俯いていた。
Aも帽子を目深にかぶっていて、わかりづらかったけど、
思いつめたような、つらそうな表情をしている。
どうして、そんな顔するの?
俺はAに会えてうれしいのに。
Aはそうじゃないのかな…?
沈黙の中そんなことを考えていたら、スタッフさんの開場しますという声が聞こえた。
もう行かないといけない。
『……A。みんなで絶対行くから。だから……待ってて。』
一言、Aにそう声をかけた。返事はなかった。
それが少し寂しかったけど、俺は会場に戻った。
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作者名:リィオ | 作成日時:2018年5月1日 1時