巡り巡るはきみのもと9

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「私、トラさんを好きになっていろんな感情を知った。だから他の人の感情も理解しようと思えるようになったんだ！」




キツネ屋は手すりに座り、目線を俺の高さに近づけた。




「トラさんと出会っていなかったら私は、全てを一生、憎んだままだった。」

「…俺だってそうだよ。」




結局、なにをしてもコラさんは戻らないし
フレバンスの家族も友達も戻ってこない。


ドフラミンゴを討ち、長年の目標を遂げた今
改めてそれを実感させられる。


だからこそ、コラさんを奪ったドフラミンゴや
故郷を奪った世界への憎しみは消えなかっただろう。




「でも、キツネ屋に出会ったから。過去を憎むのはやめて、未来ことを考えたくなったんだ。」




この13年間ずっと憎しみの中で生き、
過去に囚われてきた。


でもきっと、コラさんが1番俺に望んでいたのは、
そんなことじゃなかった。




「コラさんの言ってくれた自由の本当の意味に気付かせてくれたのはキツネ屋、お前だよ。」

「トラさん…」




柵に座ったまま、俺にガバッと抱きついたキツネ屋。




「トラさんの馬鹿！！」

「っはぁ？」

「好き過ぎて、おかしくなりそう！」




耳まで真っ赤なキツネ屋。




「おかしくなりそうなのは、俺も同じだけど？」




キツネ屋の腰に手を回し、グッと引き寄せる。



互いの顔が目の鼻の先の距離になり、
キツネ屋が恥ずかしそうに目を逸らす。




「こっち見て？」

「ん…」




俺たちは、どちらからともなく唇を重ねた。

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