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「トラさんの言う通りだったね。」
全員から離れたところで、キツネ屋が突然
そうやって俺に言った。
「空島から青海に降りる時…私が、故郷のみんなに自分を忘れられてるかもねって言った時、トラさん、言ってくれたでしょ？」
___家族のこと、友達のこと、大切なやつを忘れるなんてありえねぇんだ。
「よく覚えてたな。」
「当たり前だよ！トラさんがくれた言葉は、ちゃんと、覚えてるよ。」
キツネ屋が、俺の前に出て言った。
「すーっごく大切だからね！へへっ！」
目を細めるキツネ屋。
キツネ屋は今……2年が経った今、
どんな顔で笑っているんだろうか。
「さっ、トラさん！工場はこの扉の向こうを進んで突き当たりを右だよ！」
「あぁ。」
キツネ屋が俺の服の中に再び身を隠したあと
扉を開ける。
「……キツネ屋、こいつら全部やったのか？」
扉の向こうに多くの研究員たちが
倒れているのが見える。
「1人で、こんな大人数の相手をしたのか？」
「うん、そうだけど…あれ？なんか怒ってる？」
「俺は、ルートの"確認"と言ったから1人で行かせたんだ。"確保"と知ってたら、行かせてねぇ。」
よくわかってない様子のキツネ屋。
はあ。相変わらずだ……
「なんでも1人でやろうとするな。前にも言っただろ、お前は、ひと……いや、」
違う。
お前は、ひとりじゃねぇ。なんて。
2年前と同じ言葉を今、かけられるわけねぇだろ…
「戦力が減ったら困るんだ。無茶はするな。」
「トラさん、それって私の強さを認めてくれてるってことね？」
「やったー！」とキツネ屋は小さく
ガッツポーズをして見せた。
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作者名：ソンア | 作成日時：2021年4月2日 20時
