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「森に異常があったら報告を。」
引き渡しまで、あと10分。
ニコ屋と鼻屋は森へ入って行った。
「何事も無ければいいね。」
ふたりが見えなくなってから、
キツネ屋がぽつりと呟いた。
何事もないなんて、あり得ないと
キツネ屋もわかっているはずだ。
それでも敢えてそう言ったのは
自分を鼓舞するためなのだろうか…
「キツネ屋、」
「ん？」
「本当に、俺たちと来てよかったのか？」
「どういう意味？」
首を傾げるキツネ屋。
「ここにいたら、必ずジョーカーと直接対峙することになる。さっきシーザーがジョーカーの名を出した時…俺には、お前が恐れているように見えた。」
「知ってんだろ。俺は、ドフラミンゴと相打ちの覚悟でここへ来たんだ。もし覚悟が決まってないなら、今すぐここを離れろ。」
本当は、こんなことは言いたくねぇ。
でも…言わないと、俺は…
「私、トラさんのそういうところ好きだよ。」
「っ、」
少し黙った後、ふふっと笑ったキツネ屋。
「な、なんだよ、いきなり…」
「トラさんは優しいから。私が恐怖で動けなくなって、足手まといになっても、見捨てられない。」
……
「トラさんには隠し事できないね！私が思ってることバレちゃう！」
そりゃ、こっちの台詞だ……
俺の思考が、筒抜けみたいで少し恥ずかしくなる。
「確かに、ドフラミンゴは怖いよ。でも、心配ご無用！2年前のあの日から、覚悟は決まってるからね！」
そうだ。
キツネ屋にとって、ドフラミンゴは
単に恐怖の対象って訳じゃないんだ。
あいつは、火拳屋の処刑に手を貸した
人間のひとりでもあるんだ……
_____プルプルプル
手元の、電伝虫が鳴った。
引き渡しまであと2分。
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作者名：ソンア | 作成日時：2021年4月2日 20時
