パンクハザード・シーザーを追って-1- ページ11
「あぁ、そうだ。これ、返しておく。」
R66へ向かう途中、白猟屋に心臓を渡した。
「これ、お前…俺の心臓はシーザーに渡したんじゃなかったのか？」
「シーザーに渡したのは、モネの心臓だ。」
G5の海兵たちと闘ったあと、俺の手元には
モネと白猟屋の心臓の二つがあった。
どちらをシーザーに渡すのがいいか考えた時、
自分が白猟屋の心臓を握る方がいいと考えたのだ。
「シーザーも、自分はお前の心臓を持ってると思い込んでる。」
「さっすがトラさん！！！賢い！」
SAD用タンカーに乗っているキツネ屋が
縁から顔を出して言った。
顔色もさっきより良く見える。
「ところでトラさん、縫合糸って今、持ってる？」
「あぁ。」
「ありがとう。」と言い、糸を受け取ると
すぐに人間の姿に戻ったキツネ屋。
二の腕にパックリと割れた傷がある。
「？！！！人間だったのか？！」
「そうだよ！！私、人間だよ。それなのに、ペットとして手配書だしてさ！海軍、ひどいよね！」
そう言いながら、キツネ屋が自分のポーチから
小さなカプセル状の何かを取り出した。
カプセルの先には、針がついている。
「なんだそれ？」
「麻酔だよ。どこでも簡単な手術ができるように作ったの。便利でしょ！」
そのカプセルを傷口の近くに刺すと、
面を少しずらし、口を使って針に糸を通した。
すぐに傷口を縫い合わせたキツネ屋。
以前より、格段に手際が良くなっている。
「お前…その面、外してみろ。」
そんなキツネ屋に、白猟屋が何故か
突然そんなことを言った。
「えっ、海軍に顔見られたら面倒だから嫌だよ！」
「外せ。」「やだ！」
キツネ屋が再び、キツネ姿に戻った。
この姿では、素顔なんてわかるはずもない。
白猟屋は「はあ、」と諦めたように
溜息吐いて再び歩き始めた。
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作者名：ソンア | 作成日時：2021年4月2日 20時
