02:一周してスタートライン ページ4
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月曜日、姿見の前で真新しい制服に身を包み全身を確認する。制服を着るのは実に8年ぶりだ。
「似合ってるぞ」
「わっ!!!」
音もなく背後に現れた尊に驚いてしまい肩をびくりと震わせた。
組織で暗殺をしていた私は人の気配に敏感だ。なのに背後を取られるなんて。
「なんせ私は神だからね」
「そうデスね」
ドヤ顔で言う尊に鼻でせせら笑うと不服そうに顔を顰めた。
「さぁ、もう出ないと遅刻するぞ」
腕時計で時間を確認すると8時丁度を示していた。ここから学校まで徒歩で10分弱。急がないと遅刻してしまう。
「じゃあ、行ってきます」
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学校に到着し、案内されたクラスは2年B組。前の席に鈴木園子、その隣に毛利蘭。後ろの席に世良真純。そして隣の席は工藤新一と言う少年が普段は居るみたいなのだが、ここ数ヶ月学校に顔を出していないらしい。
放課後になり3人が私に声をかけてくれた。
「久遠さん、良かったら今日一緒にお茶して帰らない?」
「せっかく席が近いんだ、どうだい?」
「私たちがよく行くポアロって言うお店の料理が凄く美味しのよ、久遠さんと仲良くなりたいし、どうかな?」
鈴木さん、世良さん、毛利さんの順に話しかけられた。申し訳無いが今日は真っ直ぐ帰る予定だ。
「ごめんね、今日は寄り道せずに帰ろうと思ってて…もし帰り道が一緒なら途中まで一緒にいいかな?」
最初の言葉を聞いて落胆していた3人だったが最後の言葉を聞いて嬉しそうに頬を緩めた。
帰り道、好きな食べ物や、人、動物など色々聞かれたがとても有意義な時間だった。
あっという間に喫茶ポアロの前に到着し、3人にまた明日と言って帰路に着いた。
その後ろ姿を見ている者がいるとも知らずに。
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作者名:葬送 | 作成日時:2022年6月1日 21時