Another story-2- ページ6
次の日。
やっぱり気まずいまま、一日を過ごした。
こんな気持ちで職員室で明日の準備なんて考えられなくて、音楽室で残業してたらノックの音と共に現れたのはソクジン先生。
「…ごめん。ちょっと、いい…かな？」
『はい…どうぞ…』
教室に通したものの、先生も何も喋らない。
沈黙が気まずくて、ピアノのイスに座った。
これなら、立ってる先生から顔は見えないから。
「あの…
はっきりさせなくちゃ…と思って」
何だろう、今度は“そういう関係で”とか言われるんだろうか。
もし、そうなら…
私は…どうしたい？
「昨日のこと…ごめん」
『何が…ですか』
目は合わさないけど、先生の方を向いた。
「…つい…気持ちが盛り上がっちゃって…またしちゃって」
『それは……私も同じなんで…』
「無理やりしちゃって…ごめんね」
『いえ、私も…(よかったからなんて言えないし)』
俯いて、二人で黙ってしまった。
「…聞いてくれる？
…Aちゃんのこと、本当は好きなんだ」
『……え？…』 思わず先生の方を見る。
「順番が変わっちゃったけど…付き合ってほしい」
『………』
信じられない言葉に、返す言葉もなかった。
『…あ、あの……前に妹としてしかって言ったのは…』
「あれはね…ごめん。本当は前から好きだったんだ。
だけど、あの時はまだ怖くて」
『…怖い？』
「そう…。Aちゃん、５歳も年下だからこんなオヤジっぽい僕のことなんて、好きになってくれないだろうって…
普通に告白して振られたら、３月まで隣で過ごせる自信が無かった。
そしたらあんなことになって…」
『…ごめんなさい』 なんだかつい、謝ってしまった。
「なんで謝るの？
それで…自分から予防線、張ったんだ」
『そうだったんですか…』
「ねえ、僕の気持ちはそういうことなんだけど…
Aちゃんは？どう思ってるの？」
楽譜立てで見えなかった顔が、ひょこっと現れた。
『私は………私も…ソクジン先生のこと、好きです…』
先生の顔がぱあぁと明るくなった。
「…ほんとに？」
『…はい。ほんとにです』
「やー…信じられないよ……こんな…」
『…オヤジギャグ言う時は…オジサンかな〜って思いますけどー(笑)』
「やー！もう！からかわないでよ！」
耳まで赤くして笑う先生。
先生がピアノの横に来て“ハグしていい？”と腕を広げたので、私はそっと近寄って胸に額をくっつけた。
…私たち、やっと素直になれたんだね。
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作者名：Lavandula | 作成日時：2022年8月13日 11時
