(2章35〜)Another story-1-** ページ2
ー 数分後 ー
JN「ヤー、お待たせ！
ごめんね、会議長引いちゃって…」
『…あぁ。大丈夫ですよ』
大丈夫。普通に話せる。
もう、あれから一ヶ月以上経ってるんだし…
私が伴奏を弾いて、一通り歌ってもらった。
『うん。いいと思いますよ。
…ってか先生、いい声じゃないですか』
「そう？僕、自分の歌う声あんまり好きじゃなかったんだけど」
『…透明感があって、いい声ですよ？』
「本当？音楽の先生に褒められたら嬉しいな♪」
嬉しそうに笑う先生につい、私も頬が緩くなる。
「ねえ？Aちゃんも女声パート歌ってみてよ？」
『あー…はい…やってみましょうか？』
ちょっと緊張したけど、伴奏を弾き始めた。
もう歌は覚えてるとはいえ、ガチでの(まあ、先生の前だし？)弾き歌いはけっこうハードル高い…
(何度も言いますが、私ピアノ科ではないのよ)
前奏が始まり、まず男声・女声が一緒にユニゾンで歌う。
【注：ユニゾン…複数の声部が同じ旋律を同じ音程で合唱すること】
次に男声だけが歌うので、先生に目で合図を送った。
視線が絡んで…
じっと見てくるから思わず手が止まりそうになったけど、慌てて楽譜に視線を戻して続く女声パートを歌った。
そして、重なるハーモニー…
あぁ、何だろう…
好きな人と歌ってるから、という理由だけじゃない
この高揚感と、心が一つになる感覚。
これを止めたくなくて、必死で楽譜を追った。
(奇跡的に神が降りてきて間違えずに弾けた)
歌が終わって最後の後奏を弾いてたら…
胸がいっぱいになった。
ー ー ー ここから変わります ー ー ー
「『…………』」
歌い終わって自然と目が合う。
絡み合う、熱い視線。
心の奥底まで見られてるような、まっすぐな目に
体の中からカーッと熱くなった。
なんだろう… 目をそらせない…
先生もじっと私を見たまま… 近付いてきた。
「…Aちゃん」
名前を呼ばれて、私は催眠術にかけられたみたいに立ち上がった。
ぼーっと先生から目を離せない私の頬を両手で包みこむと
先生は顔を近付けた。私も自然に目を閉じる。
重なる唇。
最初は唇を押し当てただけ。
それから… 薄く開いた唇で挟み込むように何度も…
ちゅっ… チュッ… ちゅ…
舌も入って口内を貪られる。
『…ぁ…はぁ……ん…』
夢中で先生のキスについていく。
もっともっと、唇も私の体も先生を求めてしまう。
ここ、音楽室なのに…
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作者名：Lavandula | 作成日時：2022年8月13日 11時
