三十三話 ページ33
一年もしない内にお引越しというのが当たり前だった。ただ、その時は珍しく長くそこに残っていた。
けれどもその地に留まっている間、運が悪く私はいつの日かいじめられた。
キッカケは嫉妬というやつだった。
その頃の私は、引越しを繰り返して色んな所で少なくとも友達は作っていたので、新しい環境に適応するのも早かった。だからかクラスに溶け込むのも早かった。
転校生に興味を持ったのか、クラスメイト達はよく私に話し掛け結果仲良くなった。学校生活は安泰だと思っていた。
だがそれを良くないと思ったあるグループが、私に陰湿な嫌がらせを始めた。その結果嫌がらせは広がり、見て見ぬ振りをする人も増えた。ついこの前まで仲良くしていた友人も見捨てるザマだ。
だが私は誰にも相談はしなかった。両親にもおっちゃんにもだ。その時はどうせすぐに引っ越すと思っていたから。
でもそれは一年続いた。いじめは広がり、遂には先生にも見て見ぬ振りをされる始末。…ただ、直接手を出さなかっただけマシだと思う。暴力らしいものは無かった。ただ物を隠されたり捨てられたり、暴言を浴びせるくらいだった。
相変わらず友人達は助けてはくれなかった。それどころかいじめに加担する人もいた。
…その頃からだ。私が引きこもりになったキッカケは。学校に行きたくないと願った私は、両親が家を出るまで外で適当な時間を潰す事にした。
両親は共働きだった為、二人共朝には出ていた。
ある日、外に出る事すら億劫になり二人が起きるよりも先に家を出る、と嘘の手紙を置いて自分の家のタンスに引きこもった。そうして二人が家を出るのを待った。
…でも多分それが、一番の幸運で不運な決断だった。
朝早くピンポーン、と鳴るチャイム。こんな時間に来客だなんて珍しいなとタンスでじっとしていると、誰かの声と父や母の怒号やドタバタと音が聞こえた。
そしてなんとも気の抜ける音と同時に静かになった。
父や母のいたリビングは、私の部屋からすぐ隣だった。だからだろうか。来客の声がハッキリと聞こえた。
「…ごめんなさい」
その声は、苦虫を潰したような声色だった。
しばらくしてその人が外に出たのを確認したので、私は部屋の窓からその来客を見た。
その時の私は舞い上がった。何故ならその人は昔とても仲が良かった友人だったのだから。
だが部屋の扉を開けると目に入ったのは銃殺された両親の遺体だった。
ーーーーー
「…昔、お姉さんの両親を殺した犯人を見たよね」
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メランコリスト - Whiskyさん» 個人的にもスコッチさんは好きだったので生かしました。最後までご覧下さりありがとうございます。楽しんでもらえたのなら作者として嬉しく思います。 (2019年8月17日 1時) (
レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
Whisky - やっぱりヒロは生きてたんですね！押しなので嬉しいです。すごく面白かったです。 (2019年8月17日 0時) (レス) id: e4b3f2a326 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - まゆさん» この作品を見て下さりありがとうございます。続きが気になってもらえるとは…これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月14日 19時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - 氷雨さん» まさか応援コメが来るとは…ありがとうございます。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 2時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メランコリスト | 作成日時：2019年8月11日 15時
