二十話 ページ20
…この前から、たまにだけだが誰かに見られているような感覚や尾行されているような感覚がした。おっちゃんの所にいた時もそうだった。あの時は空き巣だと思っていたが…違う？
藤堂さんのストーカーという発想にすぐに思い至ったが、それは多分違うなと私の頭の中でその仮説は消え去った。確かに藤堂さんは顔がいいし女ウケも良さそうだ。あの人、彼女はいないって言ってるけど普通に彼女いそうな性格や顔してるし。…これが差か。
けれども気配は藤堂さんがいない時だって感じた。なら私絡みで私の近くにいる。普段なら今日みたいに藤堂さんと話し込んだり、ましてや家の中に入ることもないし。
…私は玄関の扉に近付いた。流石に覗き穴からこちらを見ては無いらしく、私が玄関に近付いてもその気配は消えなかった。
今なら、正体が誰だか分かる？
「…」
ゴクリと唾を飲み、そっと玄関に近付いてドアノブに手を掛けた。バレないようにバレないように。
例えストーカーの部類でなくとも、扉の前に張り付くなんて怪しい。…通り魔事件から、少々心が落ち着いていない。怖くなっても気になって確かめたくなるのも仕方が無かった。
「…開けない方がいい」
ボソリ、と小さな声で言われた私は咄嗟に扉から離れていた。
後ろには私の知らぬ間にいた藤堂さんが立っていた。
「そこからゆっくり離れて」
いつも温厚な笑みを浮かべているイメージとは違い、真面目な顔をした藤堂さんに逆らうことなんて出来ず、私はゆっくりと言われるがままに身を引いた。
「あいつがドアの前にいる限り、外には出ないほうがいい」
リビングに戻って告げられた藤堂さんからの言葉に、私は不安と家に帰れないことへの不満を覚えた。けれども仕方がない。他人の家ってなんだか落ち着かないけども。
「…藤堂さん、外にいるヤツ知ってる？」
「いや」
即答だった。
結局、その日は藤堂さんの家に泊まることになった。
というか疲れからかリビングのソファで眠ってしまったのだ。
ーーーーー
「…もしもし」
『どうかしたか？』
「彼女を狙う肝が据えた輩がいた」
『…そいつ、組織のヤツか？』
「多分下っ端。気配バレバレだった」
電話の向こうの人は、考え込むように唸った。
『あいつはどうしてる』
「今ソファで寝てる。食事に軽い睡眠薬混ぜて正解だった」
『そうか。…引き続き頼むぞ。お前だけだ、唯一彼女が心を開きかけてるのは』
「…」
『その調子で彼女と友好的になれ』
「…了解」
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メランコリスト - Whiskyさん» 個人的にもスコッチさんは好きだったので生かしました。最後までご覧下さりありがとうございます。楽しんでもらえたのなら作者として嬉しく思います。 (2019年8月17日 1時) (
レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
Whisky - やっぱりヒロは生きてたんですね！押しなので嬉しいです。すごく面白かったです。 (2019年8月17日 0時) (レス) id: e4b3f2a326 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - まゆさん» この作品を見て下さりありがとうございます。続きが気になってもらえるとは…これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月14日 19時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - 氷雨さん» まさか応援コメが来るとは…ありがとうございます。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 2時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メランコリスト | 作成日時：2019年8月11日 15時
