十九話 ページ19
ピンポーン、と鳴るチャイムから数秒後。ガチャリと開いた扉から出てきたのは先程と服装が変わり無い藤堂さんだった。
「…昨日の晩御飯の残りを食べる筈が忘れて新しく作っちゃったから」
「ああ、晩御飯な…それもしかしてチャーハン？」
私はコクリと頷いた。…チャーハンが勿体なくなるから持ってきたのだ。あの量は食べられないし。
「晩御飯…もう食べた？」
「いや、これから作ろうと思ってたところだよ」
それは良かった。もし作っていたのなら藤堂さんに気を遣わせるところだった。
「…？」
気のせいだろうか。藤堂さんは私の方をじっと見つめている。何か顔に付いているのだろうか。…いや、後ろ？
「西川さん…今日はウチで食べる？」
そう言う藤堂さんはいつもの優しげな笑みよりも、まるで何かに警戒するような目付きだった。…もしかしてこの街は常に人が警戒するような街なのだろうか。そんなに事件率高いの？…あ、いや事件なら充分あったな。ギターで通り魔をボコした件についても、さっきの包丁通り魔事件でも。
…あれ？私通り魔に好かれてる？
「…丁度ギターについて聞きたいこともあったから有難い」
「それなら良かった。俺の部屋は防音じゃないからギターは弾けないんだけど、俺も西川さんと似たようなギターは持ってるんだ」
「へえ」
なら尚更丁度いい。…通り魔について考えていたらゾッとしてきたし、流石にこのような場合一人で外に出歩くのは怖いし、藤堂さん強いし。ちなみに藤堂さんの強さの秘訣は昔格闘とかしてたらしい。顔が中性的だけども良くて格闘も強くてしかも眼鏡にぽさぽさ頭。時々乙女ゲーに出てきそうな匂いがするのは気のせいだろう。
「御馳走様でした」
「…お粗末様でした」
私のチャーハンは不味くはなかったのか、藤堂さんはパクパクと食べてくれた。その後に「美味しかったよ、ありがとう」とも言ったので今回のチャーハンは出来が良かったのだろう。私も食べてて美味しかったし。
…けどチラチラと外の様子を気にしてるけど、外に警戒しているのかな。さっき通り魔事件があったし、外に敏感になるのは私も同じなので気持ちは分かるが。
「休憩したらギター教えるよ」
「…その前にお手洗い借りていい？」
勿論、と答えた藤堂さんはトイレの場所を教えてくれた。
この家のお手洗いは玄関の近くにある。それ故に、もし扉の外に誰か張り付いていようものなら気配を感じ取れるのだ。
…またこの感覚だ。
外に誰かいる気配。
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メランコリスト - Whiskyさん» 個人的にもスコッチさんは好きだったので生かしました。最後までご覧下さりありがとうございます。楽しんでもらえたのなら作者として嬉しく思います。 (2019年8月17日 1時) (
レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
Whisky - やっぱりヒロは生きてたんですね！押しなので嬉しいです。すごく面白かったです。 (2019年8月17日 0時) (レス) id: e4b3f2a326 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - まゆさん» この作品を見て下さりありがとうございます。続きが気になってもらえるとは…これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月14日 19時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - 氷雨さん» まさか応援コメが来るとは…ありがとうございます。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 2時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メランコリスト | 作成日時：2019年8月11日 15時
