十三話 ページ13
道中はお互いに何も話さなかった。…というのも、私が人と話すことが苦手だということを藤堂さんは理解しているからだ。タメで話すとは言ったが、大抵バッタリ会った時は挨拶だけだ。さっきのように話すのは珍しい。
そして何事も無く、バーに着いた。
「久し振り、マスター」
「光君、久し振りだな。Aちゃんもいらっしゃい」
「邪魔するね」
階段を下った先の扉を開いて、薄暗い店内。相変わらずグラスを丹精込めて磨いているおっちゃんがいた。
「アレ、ある？」
「それならここだよ。手入れはバッチリさ」
そう言うとおっちゃんはカウンターからギターケースを持ってきて、中のギターを取り出した。それは中々に大きく、私の胸の下辺りまであった。
「…ありがとおっちゃん」
「それはいいがもうあんな方法で壊すなよ…」
「いや、何があったんだ」
すかさず藤堂さんがツッコミを入れたが、おっちゃんは苦笑を零した。
「…通り魔にギターで…こう、どがっと」
私が野球でやるような素振りをすると納得したのかドン引きしたのか「へ、へぇ…」と呟いた。…その口角は引き攣っている。
仕方ない、正当防衛だ。それにその通り魔目の前で女の人を襲おうとしてたのだから、因果応報というやつだろう。それに正当防衛にもなったし、多少の加減はしたから重傷ではない。
「それはそうとマスター、ちょっと奥で話したいことが」
こほん、と軽く咳払いをして話題転換なのか、藤堂さんはマスターに話し掛けた。マスターはそれにコクリと頷くと二人は奥の一般の客は出入り禁止の部屋へと入っていった。
藤堂さんとおっちゃんはここで会う度にいつもあんな感じだ。気に留めることでもないし暇になったので、バッグからスマホを取り出して適当にいじる。
ちなみに先生はカウンター席で寝てしまった。衛生面とか大丈夫なのだろうか。おっちゃんは注意しなかったけど。
「…誰か扉の向こうにいる？」
私がそんなことを呟いたのは、おっちゃん達が奥の部屋に行ってから3分も経たない時だった。
自慢ではないが私は人の気配に敏感な為、近くに誰かがいればすぐに反応出来る。数少ない特技だ。人の気配だが、店の入り口のドアの向こうから感じるのだ。誰か、までは分からないけれども。ただ、客では無さそうだ。ドアの前に閉店中と書かれた看板を出しているし、ドアの前から動かない。鍵はかかってないし、そもそも扉を開けようとする様子も無い。
「…？」
私は扉を睨みながら近付いた。
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メランコリスト - Whiskyさん» 個人的にもスコッチさんは好きだったので生かしました。最後までご覧下さりありがとうございます。楽しんでもらえたのなら作者として嬉しく思います。 (2019年8月17日 1時) (
レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
Whisky - やっぱりヒロは生きてたんですね！押しなので嬉しいです。すごく面白かったです。 (2019年8月17日 0時) (レス) id: e4b3f2a326 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - まゆさん» この作品を見て下さりありがとうございます。続きが気になってもらえるとは…これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月14日 19時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - 氷雨さん» まさか応援コメが来るとは…ありがとうございます。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 2時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メランコリスト | 作成日時：2019年8月11日 15時
