十二話 ページ12
「あれ、西川さん？」
「…藤堂さん」
先生を連れて散歩に行こうとすると、家から数歩歩いた所でご近所さんの藤堂光さんに会った。ちなみに中性的な格好ではあるが男性である。
「もしかして先生の散歩？」
リードに繋げられている呑気そうな先生を見て、藤堂さんは明るい笑みで質問した。…苦手なタイプでは無いしご近所な為、藤堂さんとはたまに話すくらい関係は悪く無い。
「散歩がてら、おっちゃ…あそこの地下バーに行こうかと」
「あー…あそこのね。実は俺もそこに行こうとしてたんだ。マスターに大事が話があってな」
「…わざわざ会うくらいの？」
「ああ」
私や藤堂さんはおっちゃんに恩がある。例えば生活。例えば人間関係。例えば金関係…等々。おっちゃんがいなければ解決しなかった問題や、危うくお金が底を尽きるところだったのだ。
私と藤堂さんはそのような共通を持つことからもタメでたまに会話するくらいの関係になった。ご近所さんだから会う確率が高いし。
「…ちょっと止まって」
「あ、はい」
言われるがままに止まった。先生は急に止まったことに疑問を覚えたのかこちらを見ている。やがて藤堂さんは近付いたので、身を引こうとしたが「動かないで」と真面目な顔で言われたのでなんとか己を我慢して、藤堂さんが何かし終わるまで目をぎゅっと瞑って待った。
「…取れたよ、ゴミ」
目をゆっくりと開いて藤堂さんが離れたことを確認すると、藤堂さんの手には何か黒い物体があるのが発見した。…なんじゃありゃ。
「西川さん…今日誰かと一緒に行動した？」
「…まあ。茶会仲間というか、なんというか…それが何か」
「その人、どんな人だった？」
「…どうしたの、藤堂さん」
流石に気になったので質問してみた。藤堂さんはその質問を受け、どこか深刻そうな顔をして黙り込んでいる。…いや、話してくれないと分からないんですが。
「…いや、ごめん。何でもないよ。その人が悪戯好きならこれをフードの中にかくしたのかもしれないしって思って。そうじゃないなら風に飛ばされたのかもな」
フードの中に入っていたのか。…沖矢さんは悪戯するような人ではないだろうし…恐らくは後者の方だろう。あれが何のゴミかは視力的な問題でよく見えないが。いつもならコンタクトするんだけどさっき外してそのままだからなぁ。もう一度つけるの面倒だったし。
「…それじゃ、ついでだし一緒に行こうか」
黒いゴミを靴で粉々に砕いた藤堂さんは笑顔で言った。
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メランコリスト - Whiskyさん» 個人的にもスコッチさんは好きだったので生かしました。最後までご覧下さりありがとうございます。楽しんでもらえたのなら作者として嬉しく思います。 (2019年8月17日 1時) (
レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
Whisky - やっぱりヒロは生きてたんですね！押しなので嬉しいです。すごく面白かったです。 (2019年8月17日 0時) (レス) id: e4b3f2a326 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - まゆさん» この作品を見て下さりありがとうございます。続きが気になってもらえるとは…これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月14日 19時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - 氷雨さん» まさか応援コメが来るとは…ありがとうございます。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 2時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メランコリスト | 作成日時：2019年8月11日 15時
