四十五話 ページ45
「どうして分かったんだ…？」
「…妙に賢い子供の入れ知恵」
江戸川の立てた藤堂さんの正体の仮説は二つ。
ハッカー、もといおっちゃんを狙う裏の世界の組織の一員。そして、おっちゃんの共犯者。
この経緯に至った理由は色々あるらしい。
まず、江戸川は私と藤堂さんが同時期に同じ地に引っ越した事から、藤堂さんは私を狙ったヤツだと思った。親しく思わせるように、でも焦らないように。
そして同じ共通点がある方が話しやすいと踏み込んだ藤堂さんは、おっちゃんから借りを作った。
そしてたまに私に近付く他の裏世界の組織のヤツらを撃退していたらしい。…あれ、何気にセコムされてた？
更に言えば私が人質にされた時、銃でタイヤをパンクさせて、そして通りすがりという偶然を装って救急車を呼んだ。
＿＿＿『強盗犯、きっと雇われたんだろうね。お姉さんを狙った組織に。だから渡さない為にタイヤを撃ち抜いたんだ』
車で仮説の内の一つの場合を語った江戸川は、まるで見ていたかのように話していた。一体この少年はどこまで見透かしているのか、疑いたくなるほどだった。
＿＿＿『でも、もし山江さんの共犯者の場合でも納得出来る』
守る為に他のヤツらに渡さないように護衛。強盗犯から奪還する為にタイヤを撃ち抜いて即座に救急車を呼んだり、仲が良くなった方が近付けるし守る時には好都合だから…なんて事は考えられる。
「少年はそう言った」
「ははっ…読心術か何かかよ…」
藤堂さんは自棄気味に笑った。…その気持ちは分かる。
「で、何で俺が共犯者だと？…まるで確信めいた言い方だったよな」
「…さあ？」
「はあ？」
私の言葉に驚いたのか、度肝を抜かれたのか。とにかく何の根拠もなく確信していたことに藤堂さんは不思議そうな目でこちらを見ていた。
「…強いて言うなら…」
「言うなら？」
「惚れた弱みかもね」
藤堂さんは口を開いたまま硬直した。
「別に藤堂さんの事じゃない。…前に死んだ初恋相手に雰囲気が似てただけ」
だからなのか、藤堂さんを信じたかったのだ。…それにあの笑みが作ったものとはどうにも思えなかったのだ。
「…おっちゃんの共犯者なら、私の事…聞いてる？」
「聞いてるよ。両親の事も知ってるし、会った事もある。…まったく、変なところで勘がさえるところも似てるな」
そう言って、藤堂さんが立ち上がった。
「…あの組織が潰れるのも時間の問題だし…もういいよな、山江」
そう言うと藤堂さんは、自分に顔に手を当てた。
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メランコリスト - Whiskyさん» 個人的にもスコッチさんは好きだったので生かしました。最後までご覧下さりありがとうございます。楽しんでもらえたのなら作者として嬉しく思います。 (2019年8月17日 1時) (
レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
Whisky - やっぱりヒロは生きてたんですね！押しなので嬉しいです。すごく面白かったです。 (2019年8月17日 0時) (レス) id: e4b3f2a326 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - まゆさん» この作品を見て下さりありがとうございます。続きが気になってもらえるとは…これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月14日 19時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - 氷雨さん» まさか応援コメが来るとは…ありがとうございます。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 2時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メランコリスト | 作成日時：2019年8月11日 15時
