四十二話 ページ42
＿＿＿『はい？』
なんとも言えない間抜け面を晒した事だろう。藤堂さんが裏の人間だとか。嘘だろあんな温厚そうな人が、と思った。そりゃ確かにやけに私に親しくするし、先生にも優しかったけどさ。
考えてみれば確かに私に近付こうとしていた節もあったが、それでも想像出来なかった。
「ハッカーだと思ってお姉さんに近付いた藤堂さんはお姉さんと仲良くなろうとした…けどお姉さんがずっと監視されている時、お姉さんがハッカーでは無いと気付いて姿を消した…のかもしれない」
実は私が監視から解放された理由は、私がハッキングするようなものも無いのに例のハッカーが小さな組織を一つ潰したからだ。それにより私のアリバイは証明。解放されたのだった。
だけどそれに気付いた裏の人間である藤堂さんは、おっちゃんがハッカーだと気付いて追いかけた、と…江戸川が言いたかったのはそういう事らしい。
「それにお姉さんが事件に巻き込まれて事故に遭った時、一番近くにいて救急車を呼んだのは藤堂さんなんだ」
それはそうだったのか、初耳だ。あの人言ってくれれば良かったのに。
…だが、何故だろう。偶然にしては少し違和感を覚える。
「事故に遭った車のタイヤは二つパンクしてて…パンクした原因は、銃弾によるものだった」
何それ怖い。
思わず口に出そうになったが、江戸川の言葉の続きが気になるので黙っておいた。
＿＿＿『…あの後僕は病院で藤堂さんに会ったけど…あの人から、硝煙の臭いがしたんだ』
「お姉さん、本当にこのビルで合ってるの？」
江戸川の声でハッと我に返った。…どうやらいつの間にか目的地に辿り着いていたようだ。今日は色んなことがあった為、ずっと頭の中で整理を続けていたから夢中になってしまっていたようだ。
「目撃者が多数いるし、米花町から離れてない」
「…そうだね。疑っても仕方ない、入るか」
安室や沖矢さん、江戸川は警戒した様子で慎重に廃ビルの中へと進んだ。
中は思った通り汚く、少し埃臭かった。人気が一切無かったが、二階へと進む途中に上の階から足音が聞こえた。
…いる。一人は。
私はさっさと上に行きたかったが、気持ちを抑えてゆっくりと三人と行動を共にした。
…おっちゃんのバカ。機械苦手だっつってたじゃんか。
「何で来ちゃうかな…西川さんまで」
だが上の階で待ち受けていたのは、困ったように笑ういつも通り、眼鏡を掛けた温厚そうな藤堂さんだった。
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メランコリスト - Whiskyさん» 個人的にもスコッチさんは好きだったので生かしました。最後までご覧下さりありがとうございます。楽しんでもらえたのなら作者として嬉しく思います。 (2019年8月17日 1時) (
レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
Whisky - やっぱりヒロは生きてたんですね！押しなので嬉しいです。すごく面白かったです。 (2019年8月17日 0時) (レス) id: e4b3f2a326 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - まゆさん» この作品を見て下さりありがとうございます。続きが気になってもらえるとは…これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月14日 19時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - 氷雨さん» まさか応援コメが来るとは…ありがとうございます。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 2時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メランコリスト | 作成日時：2019年8月11日 15時
