もし力があったなら5 (ページ10)

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いいようのない怒りがこみあげてくる
Aは男めがけて思い切り殴りつける
倒れた男に馬乗りになって何度も顔を殴る
「ふざけんな！人をなんだと思ってる！商品だと？能力を持って生まれて、周りに色んなこと言われて、どんな気持ちで生きてきたのかお前にわかるのかよ！」

「わかるわけない、だろう、、わた、しは、能力のない、、ふ、つうの、人間だ」

Aは男の胸ぐらを掴み上げてジホの前に投げ捨てる
「ジホ、ぶっ飛ばせ」
Aがいうとジホは頷いて、両手をぐっと握って、また開く
そしてエネルギーの塊を思い切り男にぶつけた

男は目を見開いて、そして、ばったりと力を失った

「あーあ。派手にやったねえ」
ヒョノはそういうと、男に駆け寄り、脈を図る
「はい、いいのか悪いのか、死んではないよ」

ジホは、興奮冷めやらぬまま、ふー、ふー、と息をしている
Aはジホのそばにいって言う
「君が決めろ。僕と来るか、一人で生きるか」
ジホはAの目を見る

「おいおい、逃がす気？」
ヒョノがいう
「黙ってろ」
Aに言われて肩をすくめる

「…お前は俺をどうする気だ」
「どうも。僕はこうやって拾われたから、そうしてやろうと思っただけ」

Aはため息をついていった
「心は決まってるのに悩むふりするなよ」
ジホは顔をしかめる
「僕は全部見えるの。わかるの。わかったらついてきな」
Aはそういうと立ち上がって歩き出した
ジホは黙って後ろをついていく
ヒョノは女を抱えて、二人のあとを追った

そのまま車に乗り込んで本部に向かう

すべて報告をして自室にもどるヒョノとA

「なんか驚いちゃった。Aちゃんてば熱いね～。惚れ直したよ」
「気持ち悪いこというなよ。」
「でも、そんなことしても、ユンギヒョンには会えないよ？」
ヒョノの言葉に泣きそうな顔でうるせえ、と返す
「わかってるよ、んなこと」

「じゃあなんで、あんなこと」
ヒョノが心底不思議そうに尋ねる
「前にもあった。こんなことが。その時、ユンギヒョンは褒めてくれた。お前の言う通りこんなことしても会えるわけじゃないのはわかってる。でも、次会ったときちゃんと胸張りたいから。とても今僕は胸張れない。だって裏切ってるんだからね」
「でも助けるためだろ」

ヒョノの言葉にAはゆったりと首を振る

「それが伝わるかは別の話だろ」

なんとなく痛々しいAの姿にヒョノは眉を寄せた