もし力があったなら5 (ページ50)

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「ジフンさん、任務完了です」

暗い部屋で、投げ出されるテヒョン

「ご苦労だった」
ジフンが満足そうに言う

そっとテヒョンに近づき、前髪を鷲掴みにする
「おい、起きろクソガキ」

長い前髪からテヒョンの目が覗く
きつい目をして、ジフンを強くにらむテヒョン
唇を強くかんでいる
うすく血がにじんでいる

「逃げられたと思ったのが間違いだったな。ソクジン、こいつは一人だったのか。ほかに仲間は」

ジフンの言葉を聞いて、テヒョンはそっと目を伏せる
ジョングクたちの居場所がばれてしまう、そう感じた
ぎゅっと目を瞑りソクジンの言葉を待つ

「彼一人でした。」

迷うことなく答えるソクジン
テヒョンは少し驚いて目を開けた

「そうか」

ジフンはそういうと、もう一度テヒョンの顔を上げさせた

「残念だったな。前のようにAが助けにきたりはしない。なぜなら、彼は逃走しようとしたので、撃たれてしまった。目を覚ますかもわからないよ」

ジフンの言葉を聞いて、さきほどよりも強くジフンを睨み付ける

「てめぇ、」
「お前もここで死ぬんだよ」

ジフンは淡々と告げる

「ソクジン、やれ」
「はい」

ソクジンは返事をすると、部屋からテヒョンを連れ出そうとする
しかし
「ここでやれ」
「はい？」

ジフンはソクジンの頬を掴んでもう一度言う
「ここで、やれ」

ソクジンは少しだけ動揺する
ジフンは黙って銃をソクジンに手渡した
少しだけ震える手で銃を受け取るソクジン

「…ヒョン？」

テヒョンはソクジンを見上げる

「ごめんね、テヒョナ」

ソクジンはそういうと、銃口をテヒョンに向けた

カチリ

嫌な金属音

テヒョンはぎゅっと目を瞑る

ゆっくりと引き金を引くソクジン

目をぎゅっと閉じた

バン

大きな銃声がする