もし力があったなら5 (ページ45)

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街に紛れ込むソクジン。

「さて、探しますか」
そう呟くと、目を閉じる
力をこめて、目を開くと、青色

街の喧騒が遠のく

空の青もビルの灰色も地面の黒もない

正確にはあるのだが、今はない

色はすべて水色

ソクジンがそっと息を吐く

街がそれぞれの色を取り戻した

「久しぶりだね、テヒョンア」

見覚えのある少年に声をかける

振り返るその少年ににじむ

なつかしさ、くやしさ、かなしさ、

みるみるうちに顔がゆがんでいく

「な、なにしてるの、こんなところで…」

「君を助けにきたんだ」

にっこりと笑うソクジン

それは今まで見た笑顔と同じ安らぎを感じるものだ

「ジンヒョン…会いたかった…」
「僕が裏切者でも？」
「…それでも会いたかった。大事なヒョンだから…」

テヒョンはそういうと、ソクジンに飛びついた
優しく、抱き留めるソクジン。
震える背中を優しく撫でる

「ごめんね、ごめん」

「ヒョン！！！！」

遠くから腕の中の少年を呼ぶ声

走ってくる別の、少年

「えっ」

近づいてきて、ソクジンの存在を確認すると固まった

「な、んで…」

ソクジンも驚いた

「あれ、君たち一緒にいたんだ、…よかった。…おいで、グガ」

ソクジンが少年に手を伸ばすが、少年は黙って首を振る

「なにしにきたんですか、ヒョン。ヒョンを返してください」
「君たちを助けに来たんだよ」
ソクジンがいうと、ジョングクの顔が歪められる

「…嘘だ。だって、ヒョンは裏切者じゃないですか…僕たちをあいつらに…」

「そうだね、前はそうだった。でも今は違うと言ったら？」

ジョングクはまた首を振る

「違う、本部から来たんでしょう、残念だけど、僕は死んでるんです」

ジョングクの言葉に驚いた顔をするソクジン

「なに、どういうこと」

「ヒョンが見てるのは僕の幽霊。僕は死んだんです。Aヒョンに殺された」

ソクジンは少し考える
そして、またにっこりと微笑んだ
それは優しい、見覚えのある笑顔

「幽霊でもいい。大好きなグクに会えたのなら、幽霊でもいいよ」

ソクジンの言葉をきいて、ジョングクは泣きそうな顔をする

開かれたソクジンの腕に駆けて行くジョングク

しかし、その腕を誰かに掴まれた