もし力があったなら5 (ページ2)

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俺は無性にムカムカしてきて男たちにに手のひらを向ける
なんでなのかは自分でもわからない

「悪夢でも見てりゃいいんだ」

そう強く思った

自分から強く力が出て行く感触がする
なんか妙に懐かしい
怖くなって目を閉じる

なにも音がしなくなったので目を開ける
そしたら驚いた。

さっきまで威勢よく銃を構えていたやつらがみんな苦しみながら床に延びていた

「あ？」

「だぁっ、やめ、やめてくれ…」

男の一人がつぶやく

その男に近づいて頭に触れてみる

何かに引っ張られる感じがしてあたりを見回すとそこは、恐ろしい光景。
四方八方から手が伸びて、男を掴んでいる

「怖いか？」
気づけば聞いていた
男は黙って首を縦に振りまくる

なんとなく、手を握る

そうしたら無数の手たちが一斉に手を握った

あぁ、俺のせいか。
俺がここを作ってるんだ
現実とは違う世界。

俺はたくさん想像する、思いつく限りの恐怖を男に向ける

男は泡をふいて叫びまくっている
気持ち悪。
そう思って現実に戻る

意識が現実に戻ると、ばばあがなぜか誇らしげに俺を見ている

「忘れさせてやんなよ」

ばばあがそういうから、俺は男たちの頭にもう一度手をかざす

目を閉じて、深呼吸。
そして願う

すべて、忘れろ、と

目を開けたとき、同時に男たちも目を覚ます

「ここは、どこだ…」
口々に言う男たち

「人んちだよ。出て行きな」
ばばあがいうと、焦ったように出て行った

「まだ思い出せないかい？」
ばばあが俺に聞く
正直なんのことだかさっぱりだ。
だから俺は黙って首を振る

「そうかい。」
「ばばあは俺の事知ってるんだな」
俺がそういうとばばあはすこし悲しそうに微笑んだ
「私のせいみたいなもんだからね」

よく意味はわからなかったが、言及するつもりもない。

「悪いね」
「別に。」